「児童婚緊急事態(終)」(2017年12月01日)

三、結婚年齢を引き上げることで幼児死亡と栄養不足による短躯幼児が減少する。そのメ
リットは2030年に年間900億米ドルに相当するプロフィットをもたらす。同時に職
場における女性福祉の向上が挙げられる。18歳未満で結婚した女性の収入は18歳以上
で結婚した女性より9%低いと推定されている。

インドネシアの女性活性化児童保護省は児童婚廃止プログラムを国家建設アジェンダの中
に加えている。その企画の中には、子供にふさわしい町作りや結婚資格年齢21歳の法制
化、義務教育12年制推進などが含まれている。

国連の児童権利委員会はインドネシアの児童権利実践状況をモニターしており、インドネ
シアの結婚資格年齢16歳を18歳に引き上げるよう、委員会はアドバイスしている。
児童婚廃止の法制化を推進している民間ネットワークの18+連合は女性の結婚資格年齢
引き上げを求めて1974年法律第1号「婚姻法」第7条(1)項の違憲審査を請求した。
請求番号22/PUU/XV/2017は憲法裁判所の初回審理の総合判定を待っているところだ。

< より先進的な地方部 >
かつて憲法裁判所が結婚資格年齢16歳の違憲審査を却下したとき、未成年結婚に対する
独自の方針をいくつかの地方自治体は地方条例・自治体首長回状・村規則などさまざまな
形で定めた。たとえば西ヌサトゥンガラ州は結婚資格年齢成熟年齢を21歳とする内容の
州知事回状を出した。グヌンキドゥル県令は結婚資格年齢を20歳と定める規則を出した。
クブメン県の8カ村は村規則を定め、すべての子供は未成年の年齢での結婚から自らを保
護する権利と義務を持っていることを保証し、未成年者に説得や威圧を及ぼして結婚させ
ることを禁止し、村役が児童婚にリコメンデーションを与えることを禁止した。

インドネシアの法規、特に結婚資格年齢に関するものは、宗教観念の影響を強く受けてい
る。宗教家は結婚年齢に関する宗教上の文献を批判的に読み返して解釈を新たにすること
が望まれている。宗教上の理由に関する理解はより批判的になされなければならないので
あって、広範な社会全般にとっての善とメリットが斟酌されるべきなのである。

2017年7月23日の全国子供の日記念日は、基本的人権に対するインドネシアのコミ
ットメントとしてインドネシア政府が国連の総会決議第A/HRC/35/L26号の支援を示すのに
最適なモメンタムである。結婚資格年齢を改定するにあたって政府はさまざまなことがら
を受け入れ、検討しなければならない。そのひとつが出産時母体死亡の多さだろう。構造
的文化的に結婚年齢を引き上げる努力は持続的統一的になされなければならない。児童婚
の廃止はモラル上で正しいだけでなく、経済的にも利口なことなのである。[ 完 ]