「とんだとばっちり」(2017年12月05日) インドネシアでは、「なんでわたしがこんなとばっちりを・・・」と愚痴りたくなるよう な不条理が、ごくごく日常的に発生している。主な要因は、ビジネスを含めた社会のシス テム構築と、その運用に携わる人間の社会感覚、そして順当に運営されていないシステム を正しいあり方に向けようとする意欲の乏しさというミスマッチのほかに、やはり個々の 人間が持っている「人間とはこういうものだ」という人間観のなせるわざという要素も無 視できないものだろう。 Aさんと知り合いだというだけの理由で、Bさんの金を持って姿を隠したAさんを捕まえ たいBさんに拉致監禁されたら、あなたならどうする? AさんがBさんの金10億ルピアを持って姿を隠した。中部ジャワ州スマラン住民B59 歳はジョグジャ住民男性29歳とボゴール住民男性28歳に手伝わせて、Aの知り合いで あるブカシ住民男性48歳とAが口座を持っている銀行の従業員R、そしてもうひとりを 拉致してチブブルビレッジアパルトメンに監禁した。Bたち三人が拉致監禁の犯行を行う にあたって、もう6人の男たちを誘って現場作業を手伝わせている。 監禁されたもうひとりの男というのはアチェ人で、最初かれはAを探して捕まえてくるよ うにBから言われ、情報を集めてチブブルのアパルトメンに報告に行ったところ他の監禁 者ふたりと一緒に縛り上げられたそうだ。 ブカシ住民の48歳の男は一味が職場へ迎えに来て連れ出され、そのあと妻に「家に帰れ ない」と電話してから、音信不通になった。妻は夫に電話しても通じないため、警察に誘 拐被害の届け出を出していた。 一方、銀行職員RはBにチブブルのアパルトメンへ来るよう呼び出され、そこへ行くと即 座に監禁された。監禁された三人は一味に暴力を振るわれている。 監禁された三人はAの親戚でも何でもなく、ただ知り合いだという関係でしかない。おま けにBの一味は監禁した者たちの親族に身代金を要求することもなく、ただAに対して 「かれらが無事に家に帰れるよう、自分の前に姿を現して金を返せ。」と呼び掛けている だけだった。 警察は届けの出された誘拐事件を捜査する中で事件の全貌を把握し、Bと手伝いのふたり を逮捕して、監禁被害者三人を解放した。誘われて監禁劇に加わった6人は逃亡しており、 警察が追跡中。