「子供にポルノが蔓延」(2017年12月08日)

児童にポルノグラフィが蔓延していることが最近の調査で再確認された。この問題は単に
風紀に関わることがらに終わらず、子供が別の子供に対して性暴力を振るうモチベーショ
ンになっていることから、深刻な事態だと関係者は一様に憂い顔を見せている。

社会省社会福祉サービス調査開発総館とECPATインドネシアは2017年6〜8月に
ジャカルタの東ジャカルタ市、中部ジャワ州マグラン、ヨグヤカルタ市、西ヌサトゥンガ
ラ州マタラム、南スラウェシ州マカッサルの5都市を対象に実態調査を行った。その5都
市が選ばれた理由は、2014年以降で児童による他の児童への性暴力事件発生が多かっ
た点にある。総件数は281件で、2017年だけでも49件が記録されている。

ECPATというのはEnd Child Prostitution, Child Pornography, and Trafficking 
of Children for Sexual Purpose という国際ネットワークの民間団体。


調査結果によれば、男女を問わず他の子供に対して性暴力事件を起こしたのは16歳がメ
インを占め、被害者は5〜17歳で幅広く、ポルノを見たことが行動の原因になったのは
41%あり、スマートフォンでポルノを見ているのがもっとも多かった。

中央統計庁の全国社会経済サーベイ(Susenas)によれば、2014年に性暴力被害を受け
た子供は全国で74,283人にのぼっている。今回行われた調査では、性暴力加害者で
ある子供がそれを行った原因は次のようになっていた。
ポルノグラフィ41%、同年代の友人や仲間33%、過去に被害者になった経験10%、
家族の影響10%、薬物やアルコール飲料6%

加害者の61.2%は親と同居しており、両親がそろっているのは55%、45%は片親
で、親の職業はほとんどが肉体労働者だった。さらに、加害者と被害者が事件発生以前か
ら知り合いであるケースは87%あった。

ポルノを見るのはスマートフォンが28%でもっとも多く、次いでコンピュータ、写真、
VCDとなっている。

加害者の61%が、性暴力を振るったのは初回もしくは2度目だと述べている。ところが
11%は数え切れないほど行っていて、それを繰り返すことに快楽を感じ、もっとやりた
くて我慢できない、と語っている。

52%はポルノを見たあと自分もそれを同じようにやってみたいという欲求を覚え、ポル
ノを見るのは友人・仲間に誘われて行っており、ポルノを見ることには元々興味があって、
仲間が見ていれば自分も見たいという欲求に囚われる子供が大半だ。

5%の子供は中毒症状を呈し、ポルノなしでは一日も過ごせず、ポルノを見ないと頭が痛
くなる、と語る子供もいた。

この状況に関して関係者は、これまで行われてきたポルノをインターネットから排除する
やり方では効果がないと見ており、児童による児童への性暴力撲滅に関する大統領決定を
出して関連諸省庁の対応を一本化し、ポルノ排除に抜本対策を講じなければ、現在の状況
は更に破滅的な段階に入って行くだろうと述べている。