「変貌する小売業界(前)」(2017年12月14日) 百貨店「ロータス(Lotus)」が17年10月末に閉店し、「デベンハム(Debenham)」もこ の年末にクローズする。オーナーのPTミトラアディプルカサ(MAP社)が行っている 百貨店ビジネス再構成の一環だ。世界の小売産業に新たなトレンドが生まれており、消費 者の動きに変化が生じているため同社はそれに応じたビジネス戦略の再構成に取り掛かっ ているさなかである由。 そのトレンドとはスペシャルティショップ化であり、百貨店はミレニアル世代にあまり相 手にされなくなってしまった。同社が採り上げようとしているのはファッション・スポー ツ・飲食品のセクターで、それらの分野での戦略構築はほぼ固まりつつあるようだ。 同社がもうひとつ進めている戦略はオンラインビジネスからオフラインビジネスへの移行。 同社はアジアで最先端のオムニチャネルリテーラーのポジションに就くことを目標に掲げ ている。 あるエコノミーフォーラムでトコペディアCEOは、オンラインからオフラインへの移行 が起こることを確信していると述べた。「店は一種の体験ストアに変わって行くだろう。 店を訪れる消費者はオンラインショッピングで得ることのできない体験を求めに行く。た とえば衣服の寸法がぴったしかどうか、布地の感触がどうか、というようなことだ。 MAP社は17年9月現在、国内69都市に1,916店を擁している。17年上半期の 売上は7.7兆ルピアで、16%成長だった。営業利益は5,487億ルピアで59%成 長、純利益は1,750億ルピアで278%成長した。 海外の著名百貨店の多くをインドネシアで手掛けてきたMAP社のラインナップには、そ ごう、デベンハム、西武、ギャラリー・ラファイエットなどがある。一方世界的ファッシ ョンブランドとしては、ザラ、マークスアンドスペンサー、キプリングなどがあり、また 飲食品分野ではスターバックス、バーガーキング、ピザマルツァーノなどを持っている。 スナヤンシティモールでのデベンハムの契約期限は17年末になっており、MAPとモー ル側は延長しないことで合意している。デベンハムが去った後、スナヤンシティにはグロ ーバルブランドのフラッグシップストアが並ぶことになりそうだ。デベンハムは4フロア 1万2千平米を使っていた。そこにファッション分野をメインにする13のブランド店が 18年9月からオープンするとのこと。[ 続く ]