「バドゥイ観光は方針転換せよ」(2017年12月19日) 2017年7月13日付けコンパス紙への投書"Terapkan Ekowisata Baduy"から 拝啓、編集部殿。南バンテンのバドゥイへ観光に行ったモハマッ・ファズリさんの体験談 の投書をわたしは興味深く読みました。観光客は入れ代わり立ち代わりやってきて金を要 求する観光ガイドに直面しなければならないのですね。 その話は別に目新しいものではありません。そこの観光管理が正しく行われていないため に、大勢の観光客が失望してバドゥイを後にするのです。不良ローカルガイドの悪しき振 舞いはバドゥイ観光の持続的開発にとってたいへんなデメリットになっています。それば かりか、大衆観光システムの路線を執っているバドゥイ観光事業も、バドゥイ族とかれら の環境保護にとってはメリットのないものです。 その結果、ネガティブな影響のほうがポジティブな影響よりも大きくなっています。ファ ズリさんが体験したような出来事以外にも、さまざまなエコシステムの破壊は避けられな いでしょう。飲食物のビンや缶、包装材のプラスチックなどのゴミが散らばっています。 ゴミ処理システムなど、もちろんなされていないのですから。 急峻な丘の踏み分け道を観光客が徒歩で歩き回ることで、土が崩れます。バドゥイダラム の住民たちも、大勢の観光客グループがやってくるとかれらを雑魚寝させるのに自宅を使 わせるため、我慢を強いられます。 バドゥイダラムのひとびとは昼間畑で厳しい肉体労働をしているので、夜は十分に休みた いというのに。そして朝になれば観光客たちは争って近くの川に入ってマンディします。 川が汚染される可能性はたいへん高いのです。 バドゥイのひとびとは先祖伝来のしきたりに従って自分たちの居住環境を整えることに努 めてきました。たとえば、自分たちの領域をいくつかの聖域に区分しています。南部のバ ドゥイダラム地区はもっとも高位の聖域で、北へ行くほど下がって行くのです。パナンピ ンのバドゥイルアルはレベルが低くなっています。つまり、大勢の観光客がバドゥイダラ ム地区にやってくることは、地元住民にとってあまり喜ばしいことではありません。 それゆえに、バドゥイ地区の観光はエコツーリズムのパターンを踏襲しなければなりませ ん。宿泊する観光客の数を制限し、アダッ文化と環境を破壊しないように決まりを与えて 守らせるのです。そうすることで、バドゥイ社会のさまざまな伝統的知恵を学びたい観光 客の希望に合致するものになるはずです。[ バンドン在住、ジョハン・イスカンダル ]