「ジャカルタの危険地帯(前)」(2017年12月26日) 今の国家警察長官ティト・カルナヴィアン氏は14年前、首都警察国家保安ユニット長を 務めていた。階級はいわゆるAKBPで、軍隊で言えば中佐に該当する。 当時、折しもスブハンSD氏の著作「ジャカルタのデンジャーゾーン」と題する都内犯罪 多発エリアを分析した作品が出されたときで、その内容に関する討論会が開かれて、著者 やインドネシアジャーナリスト協会ジャカルタ支部長、そして警察を代表してティト氏が パネラーの席に着いた。 この首都の犯罪レポルタージュ集としても読むことのできる著作は、特に路上犯罪の多発 している都内の交差点や地区を27カ所採り上げ、そこで起こった事件の解説とともに、 そこに関わっている要因をも分析している。 特にかつては犯罪者がターゲットを選択する傾向があったというのに、様相は既に手当た り次第という雰囲気が濃厚になり、おまけに犯罪者が警察に対して抱いていた畏怖心が消 滅し、捜査員に向かって凶器を振るうのがほとんど常識と化してきた。 たとえば著作のトップに採り上げられた事件は20mbat03年6月5日にクリシュナ・ム ルティ北ジャカルタ市警プンジャリガン署長が22時半ごろ、ジュンバタンティガ(Jemba- tan Tiga)交差点で赤斧を持つ男に襲撃されたものだ。 そのとき署長は私服だったから、警察を狙っての襲撃ではなく、不運な犯人が相手を間違 えたという性格の事件だったにちがいない。赤斧男はまず署長の車トヨタハリアーB 1 XM のサイドミラーをもぎ取った。ところがそれだけで去ろうとせず、男は赤斧を署長に向け て脅し、車体に振るおうとしたのだ。署長はすぐに拳銃を抜き、空に向けて威嚇射撃をし た。 赤斧男はしまったと思ったにちがいない。即座に現場から逃走しようとした。ところが不 運は重なるものだ。署長の車の少し後方に署長の部下の車がいた。署長の発砲に接してプ ンジャリガン署捜査員は車から飛び出すと、逃げかけた赤斧男を射殺したのである。 「今やジャカルタでもっとも高価なものは安全感だ。」と著者は述べている。著者が採り 上げた危険ポイントはもちろん、警察も十分に承知している。ちなみに都内の危険ポイン トは次のような場所だ。 - Mambo, Terminal Tanjung Priok - Cakung - Cilincing - Ancol - Jembatan Tiga - Danau Sunter - Permai Sunter, Jl. Yos Sudarso - Gunung Sahari - Perempatan Coca-Cola - Kemayoran - Pasar Senen - Harmoni - Monas - Dukuh Atas - Terminal Pulogadung - Rawasari, Rawamangun - Cawang, terminal bayangan - Gelora Bung Karno, Senayan - Taman Makam Pahlawan, Kalibata - Jl. TB Simatupang - Perempatan Pondok Indah, JORR - Perempatan Pasar Rebo などだ。[ 続く ]