「ロキシーの変貌(後)」(2018年01月12日)

ボゴールのアクセサリー類ディストリビュータの社員タウフィッ氏22歳は、二週間に一
度ITCロキシーマスを訪れると語る。「ここでは新製品が出るとすぐ店頭に並びますし、
値段も廉いですから。品物のバラエティはとても豊富です。わたしが買うのはたいてい、
チャージャー、ケース、ハンズフリー、プロテクターなどです。うちの店もボゴールでま
とめ売りしているんですよ。」

西ジャカルタ市パルメラ地区で携帯電話ショップを開いているユユ氏43歳は、2006
年以来いつもここへ買いに来るそうだ。四日に一度はやってきて、店で売れ筋のアクセサ
リー類を仕入れて行く。売れ筋はクリップレンズやセルフィー棒だそうだ。電話機本体は
モールタマンアングレッ(Mal Taman Anggrek)で買っており、ロキシーでは買わない、と
かれは言う。

ショップオーナーたちの間では、ロキシーで売られているたいへん廉価なサムスンやアイ
フォンの中に再調整品がかなり混じっているということが常識になっている。ただしショ
ップオーナーの中には、それを利用する者もいる。

客が希望する価格帯の品物を探し出すのが店側の腕の見せ所だと考えているオーナーなら、
客の求める超廉価品にロキシーの再調整品を当て込むこともするだろう。「客が廉価品を
買いたいと言うのなら、店は廉価品を探してくるだけのことだ。」とショップオーナーの
ひとりは述べている。

ITCロキシーマスで再調整品の携帯電話機が廉く販売されているのは公然の秘密だ。I
TCロキシーマスのカスタマーリレーション担当はテナントに対して、オリジナル製品だ
けを扱うよう忠告する回状を出している、と言う。「それでもまだ再調整品が売買されて
いるなら、あとは官憲の取締りに委ねるしかありません。違反品は必ず没収されますか
ら。」

ITCロキシーマスの携帯電話機販売黄金時代は2007〜2009年だった。携帯電話
機に限らず別の商品でも、同種カテゴリーの商品を扱っている売場が百を下らないような
ジャカルタの小売センターでは、売り手は互いに在庫を融通し合うのが普通だ。多種多彩
な在庫を持っている大資本は、競争相手でもある他の売場オーナーが自分の在庫品を売っ
てくれるのである。そういう大資本の店はあの黄金時代に、自店で得た売上以外に、同業
者に融通した在庫品の売上が毎日3千万ルピアに上ったそうだ。

2009年を過ぎてからは、携帯電話機本体の販売利益の縮小と数量の低下のために、ロ
キシーのテナントたちは本体ビジネスでやっていけなくなった。市場小売価格が場所によ
ってまちまちという時代が終わってしまったのだ。メーカーや代理店の市場把握も強化さ
れて行った。タワルムナワル商法は携帯電話機本体に関するかぎり、時代から置き去りに
されつつある。

テナント料金が払えなくなった売場オーナーたちは、アクセサリーや部品のビジネスに重
点をシフトさせた。そのようにしてかれらはITCロキシーマスやロキシースクエアで生
き延びている。

だから携帯電話機のアクセサリー類は店によって価格が大違いというケースが多いから、
価格にセンシティブなひとは何軒かはしごして価格を比較してみるほうが良いだろう。

それはともかく、かれら売場オーナーたちにとって、アクセサリーや部品のビジネスが良
いことづくめということでも決してない。というのも、製品本体あってのアクセサリーや
部品なのだ。本体がモデルチェンジしたとたん、新モデルに合わなくなったアクセサリー
や部品はピタリと売れ行きが止まってしまうのだから。[ 完 ]