「雨季のピークが近づく」(2018年01月23日)

インドネシア北部にあって雨季の気象に異変をもたらしていた熱帯サイクロンが消滅した
ことから、インドネシアは再び典型的な雨季の気象に覆われた。たっぷりと湿気を含んで
オーストラリアに向かって吹くアジアモンスーン季節風が強まったため、国内の多くの地
方で雨量が増大している。

今年の雨季は2017年11月から2018年3月までとの予報を地学気候気象庁は当初
出していたが、18年1月初頭から熱帯サイクロンが次々と発生し、インドネシアの北部
でアジアモンスーンの南下を乱していたため、しばらくの間、雨の少ない時期が生じた。

しかし、今や通常の雨季の気象パターンに戻ったためにスマトラからジャワそしてパプア
まで突風と雷を伴う激しい雨が降る可能性があることを気象庁は指摘している。また波浪
についても、エンガノ島からランプン西岸、スンダ海峡、バンテン南部海域から東ジャワ
沿岸部、バリ〜西ヌサトゥンガラまで、2〜4mの高さで海が荒れるおそれが高いと予報
している。

そのため、プラブハンラトゥ、パガンダラン、チラチャップ、パラントゥリティス、パチ
タン、バニュワギ南部地方の漁民や沿岸部住民は海に出ることを慎重に考慮しなければな
らない。


たまたまインド洋側でマッデンジュリアン波動の湿った気団の接近とタイミングが一致し
ており、また太平洋側でもラニーニャが中庸レベルにアップして海水温が顕著な上昇を示
していることが、この雨季の雨量を大きなものにする要因として作用する懸念を抱かせて
いる。その影響は1月末ごろまで、インドネシア西部地方および中部地方にもたらされる
ことになりそう。それらの要因がこの雨季のピークを1月末から2月初めにかけて出現さ
せると見込まれ、雨量もかなり増大することが予測されている。

マッデンジュリアン波動ウエットフェーズの移動に従って、気象は西から東へ、南から北
へと移り変わっていく。この先一週間ほど、首都圏の天候はまだ落ち着いているだろうが、
ジャワ島南部西部、特にバンドンやタシッマラヤが先に大雨に見舞われる恐れが高い。


地学気候気象庁が記録した17年12月の降雨量データによれば、ひと月間に200〜3
00ミリの降雨があった州は西スマトラ・ブンクル・南スマトラ・ランプン・東ジャワの
一部・バリ・東ヌサトゥンガラ・南スラウェシの一部・中部カリマンタン・パプアの数カ
所、100〜200ミリはアチェ・北スマトラ・リアウ・ジャンビ・ジャワの一部・西ヌ
サトゥンガラ・カリマンタン・マルク・西パプア、100ミリ未満は北スマトラの一部・
北スラウェシ・ゴロンタロ・マルクの一部などとなっている。

1月は中旬までで、10日間の降雨量がほとんどの地方で50〜150ミリとなっており、
ジャンビとランプンだけは少雨の20〜75ミリだった。

2月の予想については、月間200〜500という多雨がスマトラ島西岸全域・ジャワ島
大部分・バリ・スラウェシ島の一部・東西ヌサトゥンガラ・北マルク・パプアの一部、ま
た平年より高めになるのはジャワ島・バリ・東西ヌサトゥンガラ・スラウェシ島の一部・
マルク・北マルク・西パプアであるとのこと。

ただしマッデンジュリアン波動が2月初にインドネシアに上陸した後、ドライフェーズに
変化するだろうから、雨量の増加にブレーキをかけることが起こることになりそうだ、と
地学気候気象庁は付け加えている。