「疑わしきは殺せ(その二)」(2018年01月24日)

6歳の男児を礼拝所の浴室に連れ込んだ16歳の少年を、怒った男児の親と一族がリンチ
して死に至らしめるという事件が起こった。

南ジャカルタ市スティアブデイ郡東クニガン町に住むW50歳は自宅で雑貨ワルンを営ん
でいる。かれは妻と離婚したあと、25歳・18歳・6歳の子供三人を連れてそこへ引っ
越した。その自宅は、その町の礼拝所のすぐ隣だ。

2017年11月20日の昼間、末っ子のR6歳の姿が見えないのに気付いて、名前を呼
んだ。すると隣人が「男の子と一緒に礼拝所へ行ったよ。」と教えてくれた。悪い予感を
感じたWはすぐに礼拝所に向かう。

礼拝所の中にRの姿は見当たらない。礼拝所にいる知り合いに尋ねると、浴室に行ったよ
うだ、と言う。浴室へ行くと、ブースの扉がひとつ閉まっている。ブース内で水浴びして
いる雰囲気はまったくしないから、Wは扉を叩いて「開けろ!」と怒鳴った。Rの声にな
らない声を聴いたWは扉を一層強く叩くが、中はしんと静まっているばかりだ。

するとWの長男T25歳と、Wの弟A29歳がやってきた。三人は扉を蹴破った。中には
少年がひとりとRがいた。Rは床にしゃがんでいて、少年は半裸状態だったのだ。Rは既
にレープされた後のように見えた。

ブース内に踏み込んだTがすぐに少年の首を抱え込み、Wは少年の背中を殴ってブースの
外に押し出し、そこから近い学校の表まで少年を引きずって行った。殴る蹴るのリンチが
始まる。

周辺にいた男たち三人が事情を聞き、そしてリンチに参加する。少年は全身をぼろぼろに
されて地面に横たわった。リンチに加わらなかったひとびとが少年を病院に運ぶ。シェヴ
ィ16歳がその少年であることは、もうわかっていた。シェヴィは病院で4日間治療を受
け、そして死亡した。

リンチの現場をビデオに撮った者がいて、アップロードされて話題になったことから、警
察が12月半ばごろに捜査を開始した。3分59秒間のそのビデオから、6人のリンチ者
の顔がはっきりと認識できる。警察はW・T・Aおよび隣人B35歳を12月20日まで
に逮捕し、もうふたりを追跡中。