「不健康国民は国家のお荷物」(2018年01月25日) BPJS(健康社会保障催行庁)が運営する国民の医療保障制度(国民は制度そのものを BPJSと呼んでいる)が始まったことで、国民の健康維持に対する政府の力の入れよう が向上するようになった。これはひとつの好循環と見ることができるだろう。 BPJSは基本的に全国民の加入しなければならない健康保険制度であり、制度運営のた めの財政基盤として国民から掛金を徴収することと、財政赤字を起こさせないための支出 コントロールという、たいへんな業務を政府は遂行しなければならなくなったのだから。 病院などの医療機関で発生する費用が大きくなればBPJSの支出が増大するのだから、 国民が高額疾病にかからないようにすることは、その面で大きい効果を持つことになる。 同時に、高額疾病というのは長期間高額の費用を強いる病気であり、患者が健常者のよう な生産性を維持できなくなるのは目に見えているから、国民がすべからく労働に励んでG DPを高めることに参加してもらいたい政府にとっては、高額疾病のミニマイズはダブル メリットをもたらすものになる。 国民に健康でいてもらうために、安全衛生教育・栄養教育・運動の啓蒙といった国民に対 する知識の普及振興だけでなく、それらが社会で実地に行われる場での管理監督や便宜供 与にも国は力を入れなければならない。 病気にかかった国民に対するケアはBPJSの中でなされるから、次はいかに国民に対し てBPJSの世話を受けないようにするかを啓蒙指導することになる。国民に病気や怪我 を予防させるというのがそのポイントであり、国民はBPJSのおかげで、安心して病気 になれると思っているから、そこの意識転換というたいへんな矛盾を抱える難題をクリヤ ーしなければならない。 政府保健省が行っている国民への健康生活啓蒙活動の中で、食事の内容はこのようにせよ、 というリコメンデーションがある。 毎回の食事では: 主食 三分の一 野菜 三分の一 副食 六分の一 果物 六分の一 という配合にし、砂糖・塩・油脂をできるだけ減らすようにして、水を十分に飲むように。 また身体を動かすことについても; 速歩・ランニング・自転車・体操などの活動を週三回30分から60分行うように。一週 間に150分以上は運動するように。 更に加えて、「禁煙せよ」との強い勧告が出されている。 しかし保健省が種々の調査で集めた国民の実態を見ると、なかなか政府の指導に従ってく れていないようだ。保健省が推奨している理想から逸脱している国民のパーセンテージが 次のように示されている。 野菜の摂取不足 93.5% 甘い飲食品の摂取 53.1% 高塩分の食品摂取 26.2% 油脂の多い食品の摂取 40.7% 保存料の使われた動物性食材の摂取 4.3% 調味料の使われた食品の摂取 77.3% 人工カフェイン飲料の摂取 5.6% 即席めんの摂取 10.1% 運動不足 26.1% 座ったままの活動が長すぎる(一日6時間以上) 24.1% アクティブ喫煙者 29.5%