「持込み手荷物免税範囲は5百米ドル」(2018年02月15日)

「入国時の物品課税規則」(2018年2月9日)
「税関が悪者?」(2018年2月13日)
「税関が常に悪者ではない」(2018年2月14日)
と三回に渡ってお伝えしてきた税関問題について、説明を加えておきたいと思う。

まず税関の輸出入貨物管理上で、通常の通関プロセスと区別されているものがいくつかあ
る。そのひとつが送付物品(barang kiriman)と呼ばれているもので、郵便やクーリエを経
由して外国へ、あるいは外国からインドネシア国内の特定住所に送られてくる品物を指し
ている。

基本的には物品が対象になっていて、文書(手紙・はがき・書類など)は除外されている
が、書籍は間違いなく物品と誰しも思うにちがいないものの、パンフレットやカタログの
中に物品と判断されるものがあることが、過去の実例の中に見受けられる。

インドネシアの輸入制度においては、物品の価値というのは国内でその品物が持つ商業価
値で測られ、その物品が有償であるか無償であるかということには関係していない。まし
てや、外国の発送者が無償で手に入れたものであっても、インドネシア国内に入る時に相
応の市場価値を持っていると判断されたなら、課税されることは大いにありうる。


もうひとつのカテゴリーは乗客手荷物(barang bawaan penumpang)と呼ばれていたもので、
国際運送機関の乗客および運送機関乗務員が入国時にインドネシア国内に持ち込む物品、
およびインドネシアからの出国時に国外に持ち出す物品を指している。

しかし昨今その定義はインドネシア語の術語がbarang penumpangに変更され、乗客個人荷
物(barang pribadi penumpang)と運送機関乗務員荷物(barang awak sarana pengang-
kut)の二つに区分されるようになった。運送機関に常備されている設備等を乗務員荷物
として明確に区分するのが目的のように思われる。

barang pribadi penumpangは本人が使用する個人用途にふさわしいと認められる品種・性
質・数量などに限定される。

乗客個人荷物でない商業用途の物品は、最初から通常の輸入品として輸入通関プロセスの
対象になっており、その物品を個人が持ち込んでこようが、国際輸送機関が運んでこよう
が、輸入申告プロセスの違いは何もない。


さて、乗客手荷物にはこれまで、ひとり250米ドル、一家族1千米ドルの免税範囲が与
えられていた。それはつまり乗客個人荷物であっても、その免税範囲を超えれば課税され
ることを意味している。個人用途だから無制限に免税ということでは決してない。

その免税範囲が2018年1月1日から一人当たり500米ドルに引き上げられ、また一
家族最大1千米ドルの枠も廃止された。その法的根拠は2017年12月27日に制定さ
れた大蔵大臣規則第PMK 203/PMK.04/2017号である。

その免税範囲を超える乗客個人荷物に対する課税も簡便な方式に変わった。乗客の持ち込
む物品の全価額から500米ドルを差し引き、残った価額の10%が納税しなければなら
ない金額という計算になる。

もちろんアルコール飲料、タバコ、香水などの、従来から金額で測られない別建て物品と
して扱われていたものはこれまでと同様で、何も変わっていない。