「ジャカルタ地震(後)」(2018年02月23日) 激しい揺れが住民をパニックに陥れた。ひとびとは何をしたらよいのかわからずに、どぎ まぎした。ジャカルタ住民が震災の備えに欠けていたことが、今や明らかになったのだ。 家の中にいるとき、高層ビル内にいるとき、自分がどのような行動を執ればよいのかをほ とんどのひとが知らないのだ。無理してでも屋外に出るべきなのか、それとも屋内の安全 な場所を探すべきなのか。ビル内の今いるフロアに留まったほうがよいのか、それとも階 段を歩いて降りるべきなのか。 クライシス時の迷いとパニックはかえって危険を高めることになる。今回のことは仕方な いのだ。都民はこれまで地震よりも洪水に直面するのが通例だったのだから。だがこれか らは、都民は地震への対策も講じなければならないのである。 あのバンテン州南部を震源とする地震は首都圏住民への警告をもたらした。震源が遠く離 れた場所であっても、ジャカルタにとっての脅威になりうるのだということを。先日の地 震はM6.1の強さでしかなかった。しかし国立地震研究センターの分析によれば、西ジ ャワからバンテンにかけてのインド洋沈み込み帯を震源とする地震は強度M8.7に達す る可能性を持っている。もしそれが起これば、ジャカルタ地区はMMI震度6〜7の激し い揺れに襲われるだろう。ジャカルタが破壊される可能性は大いにある。 ジャカルタに震源がなくとも、西ジャワとバンテンの活断層による地震が起こり得るのだ から、ジャカルタ住民は警戒態勢を取らなければならないことを理解するべきだ。おまけ にインド洋のプレート沈み込み帯で作られる地震もあるのだから。 今や地震の危険とその対策をよりよく理解させるため、首都圏住民に災害対策教育を開始 する時期が来ている。学校・大学・オフィス・居住地区などで専門家を巻き込んだ社会化 運動が実施されるべきだ。建物の安全度もチェックされなければならない。高層ビルをは じめ建造物の監査と防震規準を満たしていないものへの強化措置も忘れてはならない。 今後ジャカルタ住民は、震災リスクの潜在性を認識しなければならない。フレンドリーで ないその自然環境は、受け入れるほかないのである。そして望むと望まざるとに関わらず、 好むと好まざるとに関わらず、テクトニックプレート衝突界に住んでいる住民として、そ れらのリスクに直面していかざるを得ないのである。[ 完 ]