「KBBIさえ動揺する」(2018年02月23日) ライター: インドネシア語シソーラス編者、エコ・エンダルモコ ソース: 2014年6月14日付けコンパス紙 "Menyinyalir" かつて話題になったk-p-s-t法則にインドネシア語話者が困惑している状況は、いまだに 続いているものと思われる。その原理は明瞭なものであるのだが。頭字がk-p-s-tで始ま る基語に接頭辞のme-やpe-が付けば、先頭にある文字が脱落するというだけのことなのだ。 たとえばmengubur, pengerat, memenggal, pemotong, menyuap, penyamun, menambah, penolongというように。 しかし次のような場合はその法則が当てはまらないという意見もある。 1)基語の頭字が二重子音の場合;mengkritik, memprotes, menstimulasi, mentransfer 2)外国からの借用語 3)三音節の単語 それが例外法則と呼ばれるものだ。 項目1)は十分に明白で、納得できる。おまけに二重子音の頭字の脱落は挿入音/e/の出 現の機会をもたらす。もちろん、出現しなくともよいのだ。つまり、将来ある時点でわれ われが選択を迫られる新たな問題を招き寄せているということなのだ。挿入音の有無をど うするのかという問題を。その選択は、k-p-s-t法則をそこに適用するなら、きっと次の ような内容になるだろう。 mengritik-mengeritik, memproduksi-memeroduksi, memrotes-memerotes, menraktir- meneraktir, menyetimulasi 等々。発声器官にアクロバットを強いるようなすべての形式 が長続きしないのは、幸運なことである。 項目2)と3)は、?今のわれわれにとって従来からの見方を超えるものでなく、再検討さ れるにふさわしいものだ。そもそも、インドネシア語話者一般に有効な外来と「アスリ」 の規準とは何なのか?三音節語についても、mengkudeta, mempesona, mempengaruhi, mempercayakan, mensosialisasikanなどといった、はなはだ豊富な例外を伴っているため、 問題含みだ。しかし頭字が脱落するものも、mengeriput, memedulikan, menyiasati, me- nerjemahkanのようにたっぷりとある。語頭が二重子音でなくとも、インドネシア語アス リ単語の中にも例外が見受けられる。mempunyaiとmengkajiがそうだ。 同じ三音節語なのに、どうして取り扱いが分かれているのか?どうやらそれが原因で、k- p-s-t法則を守らせるために原則に従った形を作ろうとする動きが起こったように推測さ れる。かつて世に流行したmempedulikanの語はKBBI初版(1988年)、第二版(1 991年)、第三版(2001年)、第四版(2008年)にmemedulikanという形で採 録されており、例外的綴り方は認められていない。ところが頭字脱落原則に従った初版の mengudetaは、第二版・第三版で例外と見なされてmengkudetaに替えられた。第四版では、 原則に従わせようとしてmengudetaの形に戻されている。 発音面で少々厳しいもうふたつの例を挙げてみたい。menyiasatiはKBBIの全版を通し て登場しているものの、menyosialisasikanは第四版ではじめて登場した。それ以前の版 にはmensosialisasikanという形が採られている。もっと厳しいのは、sinyalirを基語と する接辞形成語だ。初版から第三版までmensinyalirという形が採録されていたのは、発 音のしやすさから来たものだと思われる。第四版になってmenyinyalirが出現した。 KBBIの各版は、k-p-s-t法則に対する例外形を拒否して、法則に従おうとする傾向を 持っている。しかし例外形を無理に法則に従わせようとして作られたものが、インドネシ ア人一般の本能的舌運動から見て快適でないものになっていると思われるのは、多分間違 っていないだろう。menraktir-mentraktirやmengritik-mengkritikといった変化のように、 わたしにはこの問題が単なる習慣や慣れの問題なのではないかと推測されるのである。 mempunyaiやmengkajiを含めて、原則から逸脱しているすべての例外をまず受け入れては どうだろうか。法則に従わないことも習慣がそうさせているのだから。 その例外形にk-p-s-t法則を適用してまだ奇妙に感じられるのであれば、われわれも徐々 にそれに慣れて行くにちがいないことを確信していればよい。