「近くて遠いマレーシア(前)」(2018年02月26日)

ライター: インドネシア大学教官、口承文化協会会長、EPGメンバー、プデンティア
 MPSS
ソース: 2017年9月6日付けコンパス紙 "Indonesia-Malaysia: Dekat tetapi Jauh"

最近インドネシア国旗のさかさま掲揚ニュースが取り沙汰され、大騒ぎとなって、ネガテ
ィブであれポジティブであれ種々の憶測が飛び交った。出されたコメントが何?であったに
せよ、それはもうずっと以前から一般に語られていた事実を示すものだったようだ。すな
わち、インドネシアとマレーシアの間には、特にインドネシアのマジョリティ国民に、隠
れた緊張が水面下に漲っているのだという事実だ。燃えるもみ殻のように、発火物がそこ
に置かれたなら容易に火が燃え上がるのである。
スシロ・バンバン・ユドヨノ(SBY)大統領は2011年に「インドネシア=マレーシ
ア間の歴史的集合記憶を揺り起こす」と題する書籍の序文で、インドネシアとマレーシア
はきわめて特殊な関係を持っている、と説いた。地理的・歴史的・文化的・人種的な近さ
のゆえに、とても古くからその関係が築かれてきたのだ、と言う。
その三年前の2008年7月7日、SBY大統領はマレーシアのアブドゥラ・バダウィ首
相と共に、両国の国民レベルでの関係向上を検討するためのEPG(賢人会議)を発足さ
せた。インドネシア側はトリ・ストリスノ、マレーシア側はトゥン・ムサ・ヒタムを議長
とするそれぞれ8人のメンバーで構成され、既に三年間活発な運営が行われたが、その後
静まりかえった。外務省と国のトップがEPGはもう役割を終えたと考えたのかもしれな
い。
EPGが企画した活動が採り上げられて遂行されたなら、このファミリー関係にある両国
間の燃えるもみ殻のような緊張が緩んで、インドネシア国旗さかさま掲揚のようなことが
起こらなかったかどうかは、何とも言えない。真の試金石となるのは、両国国民がどれほ
ど互いを知り合っているのか、あるいは相互にファミリー関係にある両国民がどれほど互
いのことを知らずに遠い心的距離を置いているのかということだ。もちろん、国旗さかさ
ま掲揚は事故であって故意になされたものでないと釈明され、確かにそうであったように
思われるのだが、両国の、特に青年層における友好関係は、諸方面が期待しているように
は動いていない。
筆者が2011年の「インドネシア=マレーシア間の歴史的集合記憶を揺り起こす」と題
する書の中で述べたように、インドネシアとマレーシアの現在の関係を思い返し、将来に
向けてのポテンシャリティに注意を向けるのは、有意義なことである。[ 続く ]