「闇酒オプロサンにご用心」(2018年03月01日) バンドン県ボジョンソアン郡の民家で不法家内工業が営まれていたのを税関総局西ジャワ 州地方事務所が摘発した。インドネシアにはチュカイ(cukai)と呼ばれる特定物品税の制 度があり、タバコやアルコール飲料など国民生活にとって自由経済の中で野放しにされる べきでない物品に課税して消費量を抑制する国家方針がそこに具現されている。 税関のインドネシア語であるbea cukaiという言葉が表している通り、このチュカイ制度 は税関の管轄下に置かれており、対象物品への課税と取締りは税関業務のひとつになって いる。 お察しの通り、その民家で行われていたのは、不法アルコール飲料の生産だった。 税関捜査官が逮捕したのはT夫人43歳で、その家からアルコール濃度5〜20%の飲料 が入った瓶3,752本と納税シール2,085枚が押収された。納税シールは市販のボ トルからはがしたものと見られている。押収された製品は1億9,272万ルピア相当と 見積もられ、公正品であればそこから18億ルピアが国庫に入るはずのものだ、と地方事 務所長は述べている。 T夫人は公式ライセンスを持っているアルコール飲料生産者から大量に製品を買い、その 中身を水増しして詰め直し、はがしたシールを再度貼付する作業を行っていた。水増しに はメタノール、カラメル、人工甘味料、白砂糖、赤砂糖、しょうが、食品染料などが使わ れ、Kuda Mas, Orang Tua, Intisariなどのラベルのついた瓶に詰めなおされていた。T 夫人はこの違法ビジネスを2017年10月から開始したが、税関にタレコミ情報が入っ てこの結末となった。 エタノールと違ってメタノールは化学合成されるもので、廉価だが人体には危険がある。 水増しニセモノ製造者はどうしても低コストにしてもうけを増やしたいし、多分かれらの 人間愛は家族愛の数十〜数百分の一だろうから、メタノールに手が行くのが当然であり、 オプロサン(oplosan)と呼ばれる水増し・混ぜ物酒類をうっかり飲んでしまうと生命にか かわる。インドネシアにはこの種の人間が数多いから、アッラーも酒をハラムにしなけれ ばしかたないのかもしれない。 チマヒ市中央チマヒ郡で似たような事業を行っていたT夫人の夫M54歳はボジョンソア ン郡のその民家で事業拡張を行い、妻のT夫人が内助の功を発揮していたようだが、Mは 17年12月10日にチマヒ工場で逮捕されたため、T夫人がまだ摘発されていなかった ボジョンソアン工場で三人の従業員を使って采配を振るっていたというのがこの犯罪スト ーリーのようだ。