「ナシゴレン(5)」(2018年03月02日)

スマトラのパダン料理の王者「ルンダン(rendang)」から東ジャワのあの真っ黒なスープ
「ラウォン(rawon)」のブンブに至るまで、どれを使っても世界に恥ずかしくないおいし
さだ、とウイリアム・ウォンソ氏は太鼓判を捺しているのである。


元々は、前日炊かれて冷えた飯がナシゴレンに使われたのだが、この現代にそんなことを
する食堂レストランはあまりない。というのも、飯の水分が滲出してベタベタするのを防
ぐために、一度炊いて冷ました飯を、あまり時間を置かずに使うのが業界の常識になって
いるのだそうだ。もちろん、ナシゴレン用の飯は白飯用よりも水の量を減らした硬めのも
のになっている。

昔子供のころに日本で、食堂レストランでは焼き飯を注文するなかれ、という指導を受け
たことがある。それは別の客が残して去った白飯を焼き飯にリサイクルさせているからだ
という説明だったのだが、それが衛生上の理由だったのか、それとも悪辣商法への正義感
に導かれたものだったのか、それは分からずじまいだった。

インドネシアでナシゴレンのベーシックなブンブは、エシャロット・ニンニク・コショウ
・トウガラシ・塩がすべてだ。ケチャップアシン(醤油)やケチャップマニスそして卵も、
ベーシックでなくオプションに入る。

ジャカルタのモールに出店している、あるレストランのシェフによれば、中華ナシゴレン
はオイスターソースが必ず加えられ、ジャワのナシゴレンはトラシ(terasi)とクミリ
(kemiri)が加えられるのが普通になっている。

かれによれば、食堂などで客に供するナシゴレンを作るときに加えられるブンブには次の
ようなものがあり、どの調理人も客の評価を確かめながら秘蔵の味覚を作り出しているの
だそうだ。曰く;
kapulaga (カルダモン)、ketumbar (コリアンダー)、cengkeh (クローブ)、jintan (クミ
ン)、kayu manis (シナモン)、blendo (ブレンド=ココナツミルクを水分がなくなるまで
煮詰めたもの)、bumbu nasi kebuli (ナシクブリはアラブ風炊き込みご飯)などがあると
のこと。

そんなバリエーションに富むナシゴレンには、このようなものがある。
nasi goreng ayam, nasi goreng kambing, nasi goreng bebek panggang, nasi goreng 
corned beef, nasi goreng udang, nasi goreng kepiting, nasi goreng sarden, nasi 
goreng ikan teri, nasi goreng ikan asin, nasi goreng seafood, nasi goreng saus 
tiram, nasi goreng cumi asam manis, nasi goreng nanas, nasi goreng petai, nasi 
goreng cabai rawit, nasi goreng gulung telur, nasi goreng bakso, nasi goreng 
terasi, nasi goreng sedehana, nasi goreng istimewa, nasi goreng keju istimewa, 
nasi goreng kombinasi, nasi goreng jawa, nasi goreng bali, nasi goreng yogya, 
nasi goreng cibitung, nasi goreng oriental, nasi goreng jepang, nasi goreng 
vietnam, ・・・まだまだ書ききれないくらいある。
[ 続く ]