「自民族の盲点を知る知能犯」(2018年03月05日)

モールの駐車場に停めてある客の自動車を盗む窃盗団が摘発された。これは駐車場がいか
に防犯体制をおろそかにしているかを物語るものだ。

2018年1月21日(日)北ジャカルタ市クラパガディンのモールを訪れていた自営業
者が14時半ごろ、自分の黒色アヴァンザの姿が消えているのに直面して驚き、駐車場管
理者経由警察に届が出された。

警察の捜査が開始され、2月後半には窃盗団の実態が暴かれて関係者が逮捕され、盗難車
両が差し押さえられた。一味が持っていた盗難車両はアヴァンザ4台、シビック1台、ジ
ャズ1台。警察が逮捕したのは、34歳・31歳・28歳の男三人と、盗品故買屋の男3
人女1人。一味はこの商売を2016年末から開始しており、既にどれだけの車を盗んで
売り払ったのかについて、警察は情報をまとめている最中。盗品車両一台の価格はおよそ
3〜4.4千万ルピアで故買屋が引き取っていた。


警察の取調べで明らかになった一味の手口はこういうものだった。
一味はレンタカーを借りると、そのナンバープレートを用意してあるD 1625 AD
Jというプレートに付け替える。その車で一味の一人がモールの駐車場入り口へ行き、無
人の入り口で駐車チケットを機械から入手すると、中に入らず後退して一旦別の場所へ移
動する。

別の場所でD 1625 ADJのプレートを外し、レンタカー本来のプレートに付け替
える。

ふたたびモールの駐車場入り口へ行き、駐車チケットを取ると、今度は駐車場の中に入る。
駐車場内で目ぼしい獲物を探し、見つけたらその隣にレンタカーを停める。

ひとりが獲物の下にもぐって、アラームが働かないよう電池を外す。仲間二人はその間周
囲を見張り、もぐった者の動きを他人に知られないようにコントロールする。

ドアロックをT字キーで壊して扉を開き、エンジンキーケーシングを電動ドリルで破壊し
てから電池を接続し、その車のナンバープレートをD 1625 ADJに付け替える。

駐車場を出るとき、盗んだ車は堂々とD 1625 ADJの駐車チケットで外へ出て行
くが、そのときレンタカーは盗品車両の後ろにピタリと付いて、「急いでいるから」と言
い訳してそそくさと金を払い、二台が一緒に出て行く。そうすることで、レンタカーから
足が付くのを回避しようとしているにちがいない。

このような手口が使われると、駐車場出口ブース職員は、入り口で撮影されたナンバープ
レート画面に映っている車両の特徴と、出ようとしている車両の特徴が一致しているかど
うかまでチェックしなければならなくなる。

これがインドネシア社会の盲点を突いた手口であるのは、言うまでもあるまい。