「ATM犯罪(前)」(2018年04月05日)

インドネシアのATM機にまとわりついている犯罪は、いくつかの形態に分類することが
できる。もっともプリミティブで暴力的なものは、ATM機をさらう手口だ。

1997年4月にブカシ市ポンドッグデのスンテル川に投げ捨てられているATM機が発
見され、デポッ市の商店街から盗まれたものであることが判明した。中に入っていた1億
5千万ルピアの現金は空っぽだった。

重量が2トンほどあるATM機をかっさらうのは、たいへんな重労働になる。それを運び
出し、用が終わったら川に投げ捨てるという行為は、ちょっとしたプロジェクトだ。この
手口はもっと昔から何度も行われており、1997年がはじめてというわけでは決してな
い。


もっと小人数で事を行いたければ、溶接器具を持ち込んでブースで一仕事することになる
のだが、これは見つかりやすく、おまけに収められている現金を燃やす可能性がある。

それらの手口の被害者は銀行であり、消費者つまり銀行顧客は被害から免れている。とこ
ろが犯罪者はもっとスマートな方法へと手口をシフトさせて行った。つまりATM機を介
在させて銀行顧客の金を盗もうというやり方だ。迂闊な銀行顧客が被害に気付かなければ、
それは完全犯罪となりうるかもしれない。

この方式では、銀行顧客が持っているATMカードのデータと顧客が記憶している暗証番
号がわかれば、犯罪者の勝ちとなる。それらを手に入れるために、犯罪者はあの手この手
を考え出した。

ATM機にやって来て現金を引き出そうとする者の手からカードを奪うこと、更にその者
がATM機に打ち込む暗証番号を盗み見すること。そのためにはカードをスロットに入ら
ないようにしてすり替えるか、あるいはスロットから出ないようにしてその者にお帰りを
願うといった手段が開発された。

ご丁寧にもATM機の周辺に自分の電話番号を貼り出し、トラブルの際にはお知らせくだ
さいーXX銀行CSと書いておけば、ATM機に呑み込ませたカードが向こうから自分の
手中に飛び込んでくるという寸法になる。


だがテクノロジー時代のおかげで、もっとソフィスティケートな手口も可能になっている。
カードスキミングと呼ばれる手法がそれだ。犯罪者はATM機にカードスキマーとミニカ
メラを設置して、銀行顧客がまったく気付かない間にカードからデータを盗み、暗証番号
を撮影する。

データはマグネチックテープのバージンカードに移して、好きな時に好きな場所で被害者
の口座から金を抜き取るという自由自在さ。[ 続く ]