「自動車専用道通行料金引き下げ」(2018年04月13日)

自動車専用道の増加に伴い、政府は通行料金がキロ当たり1千ルピアを超える路線の料金
を引き下げて物資輸送の経済性を高めることを目標に据えた。これはつまり、貨物輸送ト
ラックを一般道から自動車専用道に誘導する腹づもりであると見ることができる。

現在インドネシアの自動車専用道通行料金は建設された時期によって四つに区分される。
1970〜2000年がキロ当たり平均400ルピア、2000〜2010年が700ル
ピア、2010〜2015年900ルピア、2015年以降は1,500ルピアであり、
新しいものは極端に高い。

ちなみに、1980年の1米ドルは625ルピア、2000年は8,400ルピア、20
10年9,000ルピア、2014年13,000ルピアというのがルピアの実勢レート
だった。

国民住宅公共事業省はその極端に高い39路線に焦点を当てて適正料金の再計算を行い、
理想料金をキロ当たり976ルピアと算出した。


インドネシアで自動車専用道は、国が土地を国道用地に転換し、住民への賠償と法的転換
プロセスが完了した上で民間が政府と結んだBOT契約に基づいて道路建設を行い、コン
セッション期間中は運営会社が事業を行って投資回収を進めるという方式が採られている。

通行料金は自動車道を利用する台数の見込みと連動しており、更に投資回収という大きな
枠組みの中での計算基本ファクターではあるものの、通行料金の高低と利用者の支払い能
力並びに利用意欲にも影響されるものだ。走行時間を数時間短縮するために一日のアゴア
シ費用を大幅に上回る金を払おうとするトラック運転手は少ないだろう。それが利用意欲
というものなのである。

ともあれ、運営会社にとって投資回収を危うくする通行料金引き下げを無条件で呑むわけ
にはいかない。そのため政府は35年間のコンセッション期間を最大50年間まで延長す
ることにした。

対象になる39路線はもちろんそれぞれが異なる状況にあるため、類似の背景のものをひ
とくくりにすることで、4つの区分が作られた。トランスジャワ都市間路線が11、都市
部路線13、非トランスジャワ都市間路線6、スマトラ等が9という明細だ。

東ジャワのスラバヤ〜モジョクルト、クルトソノ〜モジョクルト、ガウィ〜クルトソノの
3路線はコンセッション延長だけでは不十分なために、納税インセンティブも与えられる
ことになっている。

通行料金引き下げにはもうひとひねりあって、車両種別料金システムの内容が一部変更さ
れることになっている。現在第二種に区分されている車軸2本トラックと第三種の3軸ト
ラックをまとめて第二種にし、第四種の4軸と第五種の5軸を合わせて第三種にする方針
だ。

たとえばスラバヤ〜クルトソノ間76.77キロの通行料金は現在、セダン・ジープ・ピ
ックアップ・バスの第一種が82,000ルピア、第二種122,500ルピア、第三種
163,500ルピア、第四種204,500ルピア、第五種245,500ルピアとな
っているものが、第一種から第三種までの料金幅となり、同時にそれが6〜7割程度に引
き下げられることになりそう。


スラバヤ〜モジョクルト自動車道運営会社によれば、スラバヤのワルグヌン料金所から自
動車道に入る車両一日6万5千台の93%は第一種車両とのことで、またクルトソノ料金
所でスラバヤ方面に向けて入ってくる車両一日1万台の92%も第一種車両である由。

政府の方針も、ロジスティクスコストの低下による物価安定とロジスティクス産業の効率
向上による活性化に加えて、毎年とどまるところを知らない一般道破損修理支出の低下、
何をどうしようが成功したことのない重量過剰トラックの統制などという一石二鳥や三鳥
狙いを憶測させるものであるにせよ、これまでもむしろ積極的に違反の重量過剰トラック
を仕立てて利益確保に邁進してきた運送事業主が、いかに通行料金が下がったからとはい
え、違反行為が目立つ場所にトラックを送り込んでハイウエイパトロールの餌食にさせる
かどうかという問題は依然として残るにちがいない。