「国民教育は鵜呑み人間製造マシーン?」(2018年04月27日)

教室内で行われている教育活動は、相変わらず生徒にテキストを暗記させることがメイン
になっている。学年が上級にアップして行っても、教官教師が組み立てた内容を、学生生
徒が鵜呑みにしていくばかりだ。教わったことをどれだけ覚えているかが生徒の優秀さを
示すバロメータにされ、世間はその物差しを若者世代に当てはめて見ているばかりであり、
それで良しとされている。

世界の現代教育の方向は、見たものや聞いたことを鵜呑みにする人間を育てるのでなく、
批判的思考のできる人間を作り出していくことにあり、それをベースにして新たな創造や
社会の改革といったことを担える人間を作り出していくのを目標にしている。


2018年高校修業国家試験問題の中に、生徒の論理思考能力をためす数学問題がいくつ
か出されたが、生徒たちにはきわめて不評だった。そのような問題の解き方を先生から教
わったことは一度もない、というのが多数のコメントだったのである。

教育政策専門家はその実態に関して、教育現場では教師から生徒への知識移転がもっぱら
行われているだけであり、批判的思考能力を涵養するための教育からはまだまだ遠いとこ
ろにあるから、生徒一般にとっては手の着けられない問題になるのが当たり前だ、との意
見を表明している。

生徒に論理思考の習慣を付けさせ、しかも批判的な見地に自分を置いてその能力を活用さ
せた上で、妥当な結論や決定を下すようにするには、適切で長いプロセスが必要になる。
基礎的なコンセプトを理解させ、さらには生活というコンテキストの中でそれをできるよ
うにするのが最終目標なのであり、世界の教育はその方向に向かって各国が歩を進めてい
る。インドネシアがその方向に動き出すためには、まず学校教員にその能力をつけさせる
ことから開始されなければならない。専門家はそう語る。

論理思考能力を問う問題は、今回の国家試験に10%ほど混ぜられた、と教育文化相は説
明している。広大な裾野を持つ国民教育現場の中にそのコンセプトを植え付けるには、教
員の質的転換を進めると同時に、国家試験の中にも挿入していくことでより強いインパク
トが期待できると見られているようだ。

21世紀の教育では批判的思考・創造性・意思伝達・協調性が強く求められており、生徒
はデータ分析・比較対照・結論提示・問題解決、そして習得した能力を現実生活というコ
ンテキストの中に応用していく力を持つことが期待されている、と大臣は述べている。

国家試験問題の内容は、基礎的知識と理解を問うレベル1が30%、その応用力を問うレ
ベル2が60%、論理思考を問うレベル3が10%という配分になっているとのこと。