「携帯電話再登録は本当に終わったか?(前)」(2018年05月07日)

2010年以来、政府が努力を重ねてきたプリペイド携帯電話番号所有者の個人データ登
録が今回やっと成功した。いや、一応の形がやっと整えられたと言うべきかもしれない。

言うまでもなく、真正な本人個人データが検証できる形で存在し、電話番号にそのデータ
が紐つけできるようになっているのが目的なのであって、移動通信オペレータの顧客デー
タに「バラック・オバマ、住所アメリカ合衆国」などというデータが入っていることを登
録されているなどと言うのは論外だ。

政府内務省の全国民に関する住民管理基礎データの充実がこの電話番号所有者のアイデン
ティティ登録と表裏一体になっていることは言うまでもあるまい。それなくしては、政府
が移動通信オペレータ業界に真正な所有者個人データの登録を何度命じても、「バラック
・オバマ、住所アメリカ合衆国」のようなものをオペレータは抱え込んで「データ登録は
行われています」と主張するのを政府側が検証するのは、ほとんど不可能事だったことは
想像に余りある。


移動通信オペレータがどうして真正なデータ登録を軽視するのかというと、言うまでもな
くその原因はかれらのビジネス戦略にある。膨大な数の利用者がいて、競争相手を圧する
売り上げをあげているというデータを世の中に示すことで、業界内での地位と消費者から
の信頼度が大きい影響を受けることは間違いあるまい。

そしてそんな業界の姿勢を、携帯電話の使用を手口の一要素として組み込む詐欺師や犯罪
者たちが、得たりとばかり利用してきたのである。現実に、2018年1〜2月ごろまで
あんなに数限りないジャンクSMSが毎日入って来ていたのが見る見る減少して、今では
いかがわしいSMSが入ってくることはほとんどなくなっている。

それでも、移動通信オペレータは最後の土壇場まで、従来のビジネスストラテジーを維持
しようとして、あの手この手を使ったようだ。通信業界を監督する電気通信統制庁は個々
のオペレータに対して、番号所有者が行ったとオペレータが言う個人データを、住民管理
基礎データと突き合わせてチェックを行い、真正でないものをはじき出して、その通信を
ブロックするように命じている。


統制庁コミッショナーが4月23日に行った発言の中には、「ロボットを使って最登録を
行った節のあるものが見つかっており、そのような不正は許されない。当方ができるのは
不正を行ったオペレータへの行政管理上の制裁(警告書)だけでしかなく、民事刑事に関
わる部分は法曹機構の領分になる。政府は業界の不正行為を取り締まることができるよう、
法律あるいは政令のレベルで規則を定めてほしい。業界者への罰金などの処罰は、そうし
なければ何も行われない。」という言葉がはさまれている。

移動通信オペレータの中に、自社のSIMカードディストリビュータを通じて、政府の住
民管理基礎データを不正使用し、大量の電話番号に関して所有者個人データの再登録を行
ったところがある。電話番号を新規購入するイニシャルカードでも、既存の番号でも、そ
ういった不正が行われた。[ 続く ]