「携帯電話再登録は本当に終わったか?(後)」(2018年05月08日)

言うまでもなくオペレータはディストリビュータに販売ノルマ(と販売インセンティブ)
を課しているわけで、ディストリビュータが自主的にであれ、オペレータと共謀してであ
れ、業界側にはそういう不正が自発的に起こる環境が作られている。

前払いSIMカードビジネスは昔から設けられていたディストリビュータから小売りショ
ップという流れがネットショッピングの台頭で弱まりはじめ、更に番号購入者の真正個人
データ登録厳格化というハードルが増えた形になっており、ディストリビュータにとって
は踏んだり蹴ったりという状況になっていることも確かだ。


ともあれ、月もスッポンも一切を呑み込んでの結果、2017年10月11日から201
8年4月15日までの間に、テルコムセル・インドサットオーレドー・XLアクシアタ・
ハチソントリインドネシア・スマートフレン・サンプルナテレコムニカシインドネシアの
6オペレータが出してきた再登録済み番号の合計が3億4,159万に上った。

前払い携帯電話番号所有者が行う再登録は2018年2月末日で締め切られ、業界と政府
はオペレータが再登録済みとしているデータの検証に入った。3月と4月の61日間が3
億4千万番号のデータ検証に使われ、その結果3億2,833万番号が生き残った。

定められた再登録期間にオペレータの再登録済み番号リストに載らなかったものは、3月
1日から電話とSMSの発信がブロックされ、4月末日までに所有者がリカバリー手段を
何も講じなかったものは5月1日から一切の受信もブロックされてその携帯電話番号(S
IMカード)はボツとなった。同時に、電気通信統制庁が4月末までの検証の中で不正と
判定した電話番号も、5月1日からボツにされた。

通信情報大臣は前払い携帯電話番号再登録による業界のからくり大掃除の結果、真の使用
者数がどうなりそうかということについて、国際的に見て、国内に流通している番号総数
の三分の二が実際にその国民が使っている数だ、と述べている。


ところで、政府がどうしても大掃除しきれない部分が存在していることは、政府にも業界
にもよくわかっている。外国人がインドネシアで購入する前払いSIMカードがそれだ。
国民は住民管理基礎データでその真偽を検証できるものの、外国人にその手法は使えない。

この穴を悪用された場合、政府がそれに対抗するためにはオペレータに対して、その外国
人が本当にインドネシアにいてその番号を使っていることを証明せよ、ということになり
かねないのではあるまいか。この抜け道について今後どのような措置が執られていくのか、
われわれ在住外国人がそれにどのように巻き込まれて行くのか、これはきっと興味津々の
ことがらであるにちがいない。[ 完 ]