「外国人就労手続きの変更点(前)」(2018年05月14日)

外国人雇用に関する2018年大統領規則第20号は2018年6月26日から施行が開
始される。国家経済興隆の一要素である外国からの直接投資を促進するために、何が障害
になっているのかを政府は関係諸方面から探り出し、外国人就労許可プロセスが昔から現
在に至るまで不評である事実を確認した。そのブレークスルーとして出てきたのが、今回
の大統領規則だ。

2013年に地方自治体に移管されたIMTA手続きを廃止して、再び全プロセスを中央
政府の手に戻したのは、プロセス迅速化という大義名分の外に、現在諸方面から上がって
いる現場作業者大量流入という批判の声の根底に、地方自治体の姿勢が違反者に乗じられ
ている面があることを中央政府が認識していたのではないかと思われる。この案件のみな
らず、さまざまな面で地方自治体が過去から示してきた、自組織の収入増のために社会〜
国家レベルで悪影響が引き起こされることに目をつむるというあの姿勢だ。

今回の大統領規則で打ち出された外国人就労許可プロセスでは、就労する外国人が一週間
でインドネシアに来ることができるようになった。言うまでもなくインドネシアは合議制
の民族であり、ひとりの外国人がある産業セクターに就労する場合、それに関わってくる
省庁はもちろんひとつではない。関係者の全員が了承し納得してから動き出すシステムは、
迅速さに欠ける。

それを克服するために、通関システムなどこれまで迅速さを求めらる分野でトライされ成
功と評価されている方式が、外国人就労許可プロセスにも使われることになった。最フロ
ントの位置にあって現場に対する決定を下す部門に、関係政府諸機関が前もって条件を示
しておくという方法だ。ポジティブリスト・ネガティブリストの形でオンラインアクセス
できるようにしておき、最フロント部門がそれに従って可否判断を下すという方式が執ら
れる。外国人就労許可については6月26日から労働省が自部門の中で決定を下すように
なる。


インフラ建設工事現場で中国人労働者の姿が実見されている話を、公共事業国民住宅省ビ
ナマルガ総局長が認めた。政府のこれまでの方針である民活による国家建設方針を維持し
ながら道路インフラ建設の促進を行うなら、外資導入は避けられない。

プロジェクト施行者が必ずインドネシア法人になることは守られているものの、外資側は
融資条件に必ず自国企業の参加を条件付けてくる。あとはそれぞれの現場での技術問題に
からむ個別の状況になるわけだが、そのプロジェクトで働いているインドネシア人労働者
よりも多数の外国人が就労するわけがなく、大筋での国益は必ず維持されている、という
のが総局長の主張だ。[ 続く ]