「テロ攻勢が始まったか?(1)」(2018年05月15日)

去る2018年5月8日夜から9日朝にかけて起こったデポッ市のインドネシア大学キャ
ンパスに近い国家警察機動旅団(Brimob)指令本部内拘置所での暴動占拠が、5月13日早
朝のスラバヤの悲劇に結び付くことを予想できた者がいただろうか?

暴動の発端は南スマトラ州ジャマアアンサルッダウラ(JAD)セルのメンバーのひとり
ワワンが、家族から届くはずの食事がいつまでたっても自分のところに届けられないこと
で腹を立て、暴れ出したことだ。もちろん外部からの食べ物の差し入れは厳重なチェック
を受ける。

拘置されているテロリスト容疑者155人が同調して暴れ出し、たまたまテロリスト容疑
者を取調べ中だったデンスス88隊員から武器を奪って警察への攻撃を開始した。

最終的に36時間後、ブリモブとデンスス88、そして国軍精鋭部隊コパッススの連合部
隊が占拠されていた拘置所に突入して鎮圧したが、この事件の結果、暴動の際にデンスス
88隊員5人が殺害され、テロリスト容疑者ひとりが警察との戦闘で死んだ。

その間の拘置所内の状況が拘置者によってソーシャルメディアに実況中継されていたこと
から、この事件がISISに対するJADの自己存在宣伝であるという要素に感付いたひ
とは少なからずいたはずだ。

おまけにラマダン月が近づいているのだから、それが偶発事件だったのかどうかについて
楽観視できないひとびとが既にきな臭い匂いを嗅いでいたに違いない。そして5月13日
になって、その直観に狂いがなかったことが証明されたようだ。


5月13日(日)午前7時ごろ、爽やかな好天気の下でスラバヤ市内ガグル(Ngagel Ma-
dya)マディヤ通りにあるサンタマリアタブルチュラ教会には、7時半からの二回目のミサ
を受ける善男善女が集まって来ていた。

表門にはボランティア役員をしている信徒のひとりが到来者の世話をしており、近くには
警官も警備に当たっている。すると二人乗りしたオートバイが1台、門内に突入してきた
のだ。表門の番をしていた役員がそのオートバイを止めた。乗っているのはふたりの青年
だ。するとそのふたりは自爆し、自爆者ふたりを含む5人が死亡した。[ 続く ]