「テロ攻勢が始まったか?(2)」(2018年05月16日)

その15分後、スラバヤ市内ディポヌゴロ通りにあるインドネシアクリスチャン教会の表
を全身を覆ったムスリマと思われる三人が教会に向かって歩いてきた。その三人を目にし
た駐車番は、ひとりは大人でもうふたりは子供であり、三人とも女性のように思われた、
と述べている。かれが目撃した状況は次のようなものだった。

三人は教会表門から構内に入ろうとしたが、警備員が入るのを許さなかったので、外の道
路のオートバイが停められている辺りに立ち止まっていた。そして突然爆発が起こった。
警備員が急いで三人のところに近寄ってきたが、そのときもっと強力な爆発が起こって警
備員は吹き飛ばされ、気が付くとその三人もガミス姿のまま地面に転がっていた。
そのときは既に大勢の信徒が教会の中に入っていて、表通りはあまりひとがおらず、結果
的に警備員と信徒ふたりの三人が怪我を負い、死者は自爆した三人だけだった。


市民を驚かせた爆発はそれだけで終わらなかった。市内アルジュノ通りにあるパンテコス
タスラバヤ中央教会で7時53分、1台の自動車が建物に向かって突入し、停めてあるオ
ートバイの列をなぎ倒して扉にぶつかってから爆発炎上した。

そのとき建物内ではおよそ2百人の信徒が教会側からの連絡事項を聞いていた最中で、こ
こでの混乱がもっとも凄まじいものになったようだ。

自動車に乗っていたのはひとりだけで、現場が収拾されてから車内を調べた警察は、死ん
でいた自爆者はもうひとつ爆弾を抱えた上、更にハンドボムを持っていたことを明らかに
している。ここでは、自爆者ひとりと信徒4人が死亡した。


この日の最期を締めくくるかのように、21時ごろスラバヤ市の南方シドアルジョ県タマ
ン郡にある低所得層向け賃貸アパートメントの一室で爆発が起こり、自爆者と見られるひ
とりが死亡した。警察はその部屋が、この日の爆弾テロ行動準備のアジトとして使われて
いたものと見ている。

警察は自爆者の身元割り出しに努め、三カ所の教会に自爆テロを仕掛けたのが親子の一家
であることを突き止めた。

父親のディタ・アプリヤント48歳は自動車を運転してパンテコスタ教会に突入し、妻の
プジ・クスワティ43歳は12歳と9歳のふたりの娘を道連れにしてインドネシアクリス
チャン教会の表で果て、18歳と16歳の息子ふたりはサンタマリア教会で生涯を閉じた。

この日の爆弾テロによって合計14人が死亡し、怪我人が44人出た。[ 続く ]