「レフォルマシ期の経済パラドックス(2)」(2018年05月30日)

ところが媒介機能が弱いことも、貸付金伸び率が2011年の25.5%をピークにして
その後低迷している事実が示している。それどころか、過去三年間は10%を下回ってい
るのだ。同じパターンは第三者資金の伸び率にも見ることができる。

三つ目のパラドックスは、インドネシア経済の開放度とファイナンシャルセクターの深さ
不足の点にあり、動揺がきわめて起こりやすい体質を持っていることだ。直接投資にせよ
ポートフォリオ投資にせよ、疑いもなく成長している。ところが国内ファイナンシャルセ
クターの浅さのゆえに、ポートフォリオに投資された外国資金がグローバル経済の動向に
よっていつでも国外へ飛び去ってしまう。

インドネシア経済は少なくともそれら三つの基本問題を克服しなければならないのである。
再記しよう。深さの不十分なファイナンシャルセクター、低い工業パワー、経済格差の三
点だ。

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では、2018年とそれ以降の時期におけるチャレンジとは何だろうか?今年と来年はイ
ンドネシアにとっての政治年だ。

政治面がもたらす不確定性は国内にも国外にも起こる。インドネシア国内では、2018
年と2019年に地方自治体首長一斉選挙、そして2019年には国会議員選挙と正副大
統領選挙が行われる。

さまざまな国や地域でも、政治情勢のための不確定性が起こる。たとえば中東では核問題
やドナルド・トランプ米国大統領の政策への対立論争だ。それらがグローバル経済に影響
を及ぼす。

現在そして今後ますますこの国と世界が直面するチャレンジとはテクノロジーの進歩であ
る。その最新版はデジタル経済成長とインダストリー4.0。

このように、2018年とそれに続く年々の不確定性はますます高まる。インドネシアは
テクノロジー進歩の資本化に格好の場だ。クライシスから20年経った今、たくさんの宿
題を解決することができる。しかしそれには条件がある。正しくデザインされるという条
件が。

とはいえ、この20年間のレフォルマシ時代の開発が社会的公正さを生むことに失敗して
いるという批判もある。それどころか、期待とかけ離れているありさまだ。[ 続く ]