「ゴロンタロの旅(2)」(2018年06月05日)

大規模資本農園が見せる整然と並ぶ植樹姿とは対照的な、商品作物と自然樹木の混然一体
とした姿がそこにあった。この村のもっとも高い地点には塔が建てられていて、ゴロンタ
ロの町を遠望することができる。その背景を埋めている山々の姿は、まるで一幅の絵のよ
うだ。
村民はキャンドルナッツを現金収入の最大の頼りにしている。他の作物は6カ月・一年・
あるいは二年というように、収穫期がある。期間も天候次第だ。しかしキャンドルナッツ
は一年中収穫できるという利点があるのだが、ともかく廉い。
キャンドルナッツは天日干ししただけの、殻を割っていない状態でキロ当たり5千ルピア。
ところが農民がそんな価格で売り渡した品物が、殻を剥かれた状態で在来パサルに置かれ
ると、キロ当たり2万8千ルピアになっている。
殻割り作業を農家の主婦に賃作業させれば、手間賃はキロ当たり2千ルピア。もちろんそ
こまで手を加えれば売値はもっと高くなるが、手作業では量がしれている。機械を買えば
全体の経済性は高まるが、1台3千6百万ルピアもの投資が村民においそれとできるわけ
ではない。
アレンヤシの汁で作る赤砂糖の塊やグラニュー化したものの生産もこの村で行われている。
汁を8時間加熱して濃縮し、それをヤシ殻で作った型に入れてさます。村人はそれをパハ
ンガ(pahangga)と呼ぶ。その甘くて粘り気のあるパハンガはパサルで葉っぱに包んで売ら
れている。
村の経済活動を見学し終えた一行は、キャンドルナッツ・赤砂糖・地元の菓子バゲア(ba-
gea)・ゴロンタロご自慢のロブスタコーヒーであるピヌゴ(kopi pinugo)を土産にして帰途
に着くのである。

15時: オタナハ要塞
ドゥラマヨからゴロンタロの町に向かわず、方向を変えて1522年に作られたオタナハ
要塞(Benteng Otanaha)に向かう。車で町からリンボト(Limboto)湖に向かえばおよそ2
0分の距離だ。
この要塞から見る日の出と日没が絶景なのである。要塞はデンベ第一丘の頂上にあり、リ
ンボト湖を臨んでいる。スカルノ大統領がゴロンタロを1950年と1956年に訪れた
時、大統領は水上機でこの湖に降り立った。その出来事をしのぶスカルノ大統領水上機着
水博物館が作られている。[ 続く ]