「VRボックスのレンタル事業」(2018年06月11日)

インドネシアでは低所得層の子供たちを対象にしたレンタルサービスが盛んだ。はるか昔
はゲームボーイから、その後レベルが上がってプレステに至るまで、かなりヨレヨレにな
った機材を数台持ったおじさんがパサルの路上で店開きをし、野次馬を含むたくさんの子
供たちがひとの山を作っていた。
ミドルクラスの家庭は子供たちが自分の専用機を親にねだるのが普通で、親はない袖をな
んとか時間をかけて工面するのが一般的だったようだ。このクラスの子供たちはたいてい
持っている友人仲間の家に集まって遊んでいたようだが、パサルの路上へ行く子もいたに
ちがいない。
低所得層の子供は親にねだっても無理だと分かっているのが多いから最初から諦めるのだ
ろうが、遊びたい欲望には負けてしまう。だから子供たちが母親からもらった小銭の小遣
いを握りしめてパサルに集まってくるのである。
その伝統は今やVRボックスにまで及んでいる。2分半のビデオクリップを見るのに、料
金は2千ルピアだ。ウピンイピンのような動画から、ジュラシックパークの恐竜を3Dで
見たり、ホラー映画の化け物と3D世界で対面したりする。
南タングラン市チプタッの駅前で、路上で商売していたのはまだ若いお姉さんだった。か
の女はまずVRボックスを5台、ネットショップで廉いのを探して購入した。1台5万ル
ピアだったそうだ。そしてスマホも5台買う。その他さまざまな費用を合わせて、初期投
資は350万ルピアだったそうだ。
この事業はかの女の兄が提案したらしい。そして4人の弟妹にいろいろな仕事を割り当て
た。かの女は現場のマネージャーで、別の弟は2分から5分のビデオクリップ制作を担当
し、インターネットを探し回っては子供に人気のあるコンテンツを用意している。
子供たちはコンテンツリストの中から見たいものを選び、お姉さんに言う。お姉さんはス
マホでそれが見えるようにし、VRボックスにセットしてお客が楽しめるように世話をす
る。
子供たちは続々と集まって来て順番を待っている。この兄弟姉妹のビジネスは順調に進展
しているようだ。