「路上に渦巻く犯罪」(2018年07月11日)

オレンジテントひったくりシンジケート壊滅作戦に合わせて、首都警察は各市警本部と共
同で路上犯罪撲滅キャンペーンを開始した。5市警本部から13チーム、首都警察本部か
ら3チームが現場に出て犯罪発生への即応態勢を取り、都民に安全感を高めてもらおうと
いう趣向だ。このキャンペーンでは強奪・ひったくり・オートバイ盗難がメインターゲッ
トとされ、出動チームは二日間で57件の事件を手掛けて39人を逮捕した。

最近話題になった事件の中には、都民がオートバイ泥棒と争ったとき、泥棒にピストルで
射殺されたという悲惨なものがある。18年7月4日19時ごろ、タングラン市に住む夫
婦が子供を連れて近所の携帯電話プルサショップへ買い物に出かけた。みんなが店内にい
るとき、オートバイのエンジン音が聞こえたから、38歳の夫が外へ走り出た。案の定、
見知らぬ男が自分のオートバイにうちまたがっている。夫は「マリン!マリン!」と叫び
ながら泥棒にしがみついた。オートバイが転倒し、泥棒は地面に転がる。すると泥棒はピ
ストルを取り出して銃口を夫に向けたのだ。夫は即座に身をひるがえすと、銃口を避けて
横っ飛びに飛んだ。ところが夫の後ろにその身を気遣って34歳の妻がついてきていたこ
とを夫は知らなかった。妻がすぐ後ろにこっちを向いて立っている。4発の銃声が聞こえ、
妻は路上に崩おれた。夫は助けを求める。そのすきに泥棒は盗んだオートバイで逃走した。
妻の生命は助からなかった。銃弾は左胸に1発、右胸に2発、腹に1発くいこんでいた。


6月8日に都内ガジャマダ通りで起こった盗難事件がある。大統領スタッフオフィスに勤
める専門スタッフのひとりが四輪車でガジャマダ通りを走行中、脇を走っているオートバ
イがかれに合図してきた。後ろのタイヤがパンクしていると教えている。かれは道路脇に
車を止めて、後輪を見るために運転席から出た。

後輪はなんともない。かれが運転席に戻ると、助手席側のドアが閉まっておらず、そして
パソコンや現金やさまざまな私物を入れてあったバッグが姿を消していた。

その事件が発覚したのは、かれが警察に紛失証明を発行してもらおうとして紛失届を出し
たからだ。犯罪の被害届ではなかった。KTPの再発行には警察の紛失証明が必要とされ
ている。

警察はもちろん紛失状況の詳細を尋ねる。不始末が職場に知られることを怖れての行動だ
ったのだろうか、しかしそう簡単に事は運ばなかった。かれが盗まれたものはパソコン、
ハードディスク、国家官房徽章、名詞、現金250万ルピアなどで、ハードディスクには
国家文書が大量に記録されていた、とかれは語った。

しかし大統領スタッフ事務所の先任スタッフは間もなく、盗まれたハードディスクに国家
機密文書のようなものは入っておらず、本人の個人用ファイルだけだった、という表明を
出している。