「南往き街道(26)」(2018年07月13日)

市場内では、取扱商品がそれぞれ一括りにされて独自のゾーンを形成している。どのよう
なゾーン建てになっているのかを知れば、市場内のありさまを想像でなりとも知ることが
できそうだ。ゾーン建ては次の通り。
とうがらし cabai
バワン bawang
その他野菜 sayuran
芋類 umbi
バナナ pisang
パイナップル nanas
アボガド avokad
すいか semangka
その他果実 buah
スパイス bumbu

言うまでもなく、市場建物内に入荷した商品を選別したり小分けするためのゾーンも設け
られている。


総面積14.7Ha、売場4,508カ所、24時間稼働のクラマッジャティ中央市場に
はかつて、はるかに小さい在来市場がそこに存在していた。もっと北にあるパサルアタス
(Pasar Atas)と呼ばれた在来市場に対比させてパサルバワ(Pasar Bawah)と呼ばれていた
ことから、今の中央市場をパサルバワと呼ぶ人もいまだにいる。

そこに生鮮野菜や果実の中央市場が設けられたのは、それまでその機能を果たしていたマ
ンガライ市場がもはや手一杯になり、生鮮野菜果実の売場が道路上まであふれて地区一帯
を大混雑の渦に巻き込むようになったためで、そのありさまは1969年5月のコンパ
紙に報道されている。

とうがらしゾーンに売場を持っているヤディさん51歳は、高校生のころから父親を手伝
ってここで商売していたと語る。
「80年代に父はここで商売してました。わたしは最初ここで販売するための唐辛子を自
分で仕入れに行くため、トラックの運転手をしました。市場に巣食うプレマンに一目置か
せるために、若いころは毎日気張ってましたよ。仕入れだってそうです。他人を安易に信
用したら、とんでもない目に遭わされる。産地の販売者が送ってくれるという約束なんか、
当てになりません。自分で取りに行くのが一番確実だったんです。昔、父親の時代は鉄道
便で送られてくる二袋で商売してました。今じゃトラックで毎日4.5トンが届きます。」
[ 続く ]