「コメで否定された地元食糧」(2018年07月19日)

食糧主権のための民衆連合がボゴール市の15〜25歳の青少年180人に対してアンケ
ート調査を行った。目的は主食に対する意識調査で、近年とみに力説されている伝統的非
米食地方に対する米作米食画一化の誤りに関する若者世代の認識がどうなっているのかと
いう点に焦点が当てられた。

回答者の87.2%は炭水化物摂取源としてローカル食糧の方が栄養面でも健康面でも勝
っていると考えているが、実際にローカル食糧を摂取していると答えたひとは51.1%
しかいなかった。現実問題として、そこには材料入手から調理といった問題が関わってい
るため、主婦の意識調査も別途行われるべきだろう。また外食という要素まで含めて考え
るなら、若者たちにとってその実践は更に困難なものとなるに違いない。

コメが唯一の主食であるという考え方を否定したひとは48.3%いた。インドネシアは
主食のバラエティに富んでいると答えたひとは55%いた。炭水化物摂取源としてさまざ
まな食糧が利用できるという認識は概ね共通のものになっている。ところが現実には、一
日三回コメを食べているひとは46.7%おり、40.6%は一日二回コメを食べている。

健康な食事に関する情報を入手しているひとは82.2%にのぼった。76.7%はソー
シャルメディアを情報源にしている。しかしながら、情報や知識を得たからといって、そ
のまま実行動に反映されるものでもない。収入・教育・嗜好・習慣・価格・市場流通など
の要素がそこにからんでくる。


一方で、村落部の若者たちは状況がほぼ逆転している。村落部にはコメ以外の食糧が多種
多量に存在しているというのに、ひとびとはコメへの傾斜がきわめて強い。それは若者層
だけでなく総体的に共通している現象だ。東フローレスの村長のひとりはこのように語る。
「コメの飯を食べないと、食事したことにならない。昔はトウモロコシやキャッサバなど、
あれこれ混ぜて食べていたというのに。
今では、芋やキャッサバを食べていると、貧乏人だと見られるようになった。寄り合いで
そんなものを出したら、みんなから見下げられる。その結果、誰もがパンやコメの飯を競
って供するようになった。」

村落部では若者層がそういった「常識」の中に埋没して、考え方を変革していくパワーに
なりえないでいる。それは情報入手の問題でもある。

都市部の若者は豊富な情報に支えられてローカル食糧への認識が高いものの、ローカル食
糧そのものの流通がまだまだ少なく、知識と実践の間にギャップが存在している。反対に
村落部はローカル食糧が容易に手に入るにもかかわらず、認識が不足しており、宝の持ち
腐れになっている。そのギャップを埋めて行くことがこれからの課題だ、と食糧主権のた
めの民衆連合コーディネータは語っている。