「K−9」(2018年07月20日)

タイトルの読み方はケイナインで、canineを英語でそう発音するようだ。フランス語では
カニンと読む。インドネシア人は英語として発音している。

インドネシアでも、国家警察、税関、国家麻薬庁などの国家機関は働く犬たちを多数必要
としているが、なかなか需要が満たせない。イスラム教で犬はハラムだから、少数の犬を
非イスラム教徒が使っているだけだろうという想像はまったく当たっていない。インドネ
シアの国家方針は進歩と現代化であり、それを妨げる宗教要因には従わないで独立後の歴
史をたどってきた。インドネシアはイスラム教国家であり、宗教がすべてに優先するはず
だという誤解を持つ限り、インドネシアの真の姿を理解することは難しいだろう。


使役犬の市場がオランダのエイントホーフェンに立つ。供給はオランダからだけでなく、
ドイツやベルギーからも来る。ただし、子犬が9頭生まれても、使役犬に向いた性質や才
能を持つ者は1〜2頭しかいない。供給は限られており、需要は大きい。使役犬を必要と
しているのはインドネシアだけでないのだから。

インドネシア国家警察はそこから毎年120頭の使役犬を購入する計画にしているが、健
康で性質が良く、血統も良いという犬を厳選すると、なかなか数が揃わないことになる。

今年はやっと計画の半数しか入手できていない。買付からインドネシアに送り届けるまで
の世話や手続き、輸送などに一頭当たり1億ルピア以上がかかっていることから、この方
式はいつまでも続けられることではない。


国家警察は警察犬を一般犯罪捜査・爆発物・ナルコバ・被災者発見の目的のために使って
いる。同じ犬にそれら種々の目的を掛け持ちさせるのは無理があり、得手不得手があるた
め、おのずと需要は膨れ上がる。

税関もそうだ。税関は73頭の使役犬を持ち、カリマンタンの国境通過ポイントやジャカ
ルタのタンジュンプリオッ港をはじめスマトラやジャワの主要港に配備されていて、決し
て余裕のある状況ではない。かつてオーストラリアから使役犬の寄贈を受けたことがある
ものの、やはり優れた犬はエイントホーフェンから買ってこなければならない、と税関総
局広報課長は述べている。

麻薬違法薬物摘発を使命とする国家麻薬庁はK−9班を2年前に設けたばかりだ。そこで
は47頭が麻薬捜査に活躍している。かつて中国から輸入された2百梱包近い発電機にナ
ルコバが隠されているのを見つけ出すため、たいへんな手間暇をかけてひとつひとつ調べ、
半数ほどの中からナルコバを見つけ出したことがある。麻薬捜査犬がいれば、かけるエネ
ルギーはミニマイズされる。

首都警察にはときどき、外国種の大型犬が市民から寄贈される。犬のエネルギーに負けて
持ち主が訓練できないため警察で使ってほしいというケースが多いそうで、警察は犬に訓
練を施して警察活動に使う方向性を整えている。

言うまでもなく、国家警察・税関・国家麻薬庁のK−9班は国内にいる犬に対する職業訓
練実施に努めており、ケイナインの陣容はおいおい層の厚さを増して行くにちがいない。