「今度の雨季は分裂型か?」(2018年07月23日) 2018/19年の雨季はエルニーニョの影響を受ける可能性が高いと地学気候気象庁が 発表した。エルニーニョ現象とは太平洋東部中部海域の海水温が周辺よりも高くなる現象 で、反対に西部にあるインドネシア海域は水温がむしろ低下気味になり、海水の蒸発が抑 えられて空気は乾燥傾向を強める。 同庁のエルニーニョ〜サザンオシレーションによる降雨への影響研究報告によれば、19 61年から1993年までの期間でエルニーニョは6回、ラニーニャは5回起こっており、 エルニーニョ現象が降雨に対する影響を4月から振るい始めると8〜9月がその最盛期と なり、12月にやっと影響が消滅するパターンになっている。 このパターンは乾季の降雨をいやが上にも低下させることから、激しい干ばつが起こり、 乾季は長引き、雨季の到来が遅くなる。森林原野火災も誘発されやすくなり、2015年 に起こったようなできごとがその典型となる。 今回のエルニーニョ予報は世界の多くの国が9月ごろから強まって2019年3〜4月ご ろまで続くとの予測をしており、インドネシアでは雨季のエルニーニョ現象となるため東 部インドネシア地方は受ける影響が強く、スラウェシ・カリマンタン・パプアから小スン ダ列島にかけては乾燥気味の雨季が懸念される一方、西部インドネシア地方は西からの湿 ったアジアモンスーンの影響下に落ちることから、スマトラ島中部からカリマンタン西部 にかけて豪雨がもたらされる可能性が高まる。 19年3〜4月ごろにエルニーニョ現象が弱まれば、アジアモンスーンがインドネシア全 域に広がって行くものの、続いてオーストラリアモンスーンが強まってくるため、短時日 の集中豪雨という現象は継続するかもしれない。 この18年6月末には、インドネシアのほぼ全域が乾季入りした。乾季入りの先頭グルー プは3〜4月に既に突入している。バリ〜ヌサトゥンガラは6月に突入した。乾燥して冷 たいオーストラリアモンスーン気象配置がインドネシア上空に張り出してきていることか ら、全国的に寒い天候が広がっている。