「アンチ中国感情は政治ツール(1)」(2018年07月25日)

ライター: マアリフ研究院顧問会員、ファジャル・リザ・ウル・ハク
ソース: 2018年7月7日付けコンパス紙 "Jokowi dan Anti-Tionghoa"

イスラム系民間団体のマジョリティは中国をインドネシアの国益にとって脅威ではないと
見ており、正反対の見方をしているアメリカ政府とは異なっている。

かの?小平の国に対するムスリム界著名人たちの認識は概してサウジアラビア並みに友好
的であり、インドネシアの国内利益を乱す潜在性を持つ中国の外交政策に対して、疑惑を
抱かない。かれらの目には、アメリカも中国も同じように、デモクラシーと基本的人権に
対するコミットメントを持っていないように映っている。イスラム系民間団体指導者層に
とって、アメリカの政策、特にイスラムとテロリズムというコンテキスト下のもの、に関
する情報へのアクセスの利便さと中国の政策に関する情報へのアクセスの狭さを比較する
なら、その見解の差の理由の一つを観取することができるにちがいない。マアリフ研究院
は2009年に、米国・オーストラリア・中国・サウジアラビアなど数カ国の対外政策に
ついてのイスラム民間団体指導層の認識を把握するために調査研究を行った。上の結論は
そこで引き出されたものだ。


ところが、まだ十年ひと昔を経過していないというのに、われわれの眼前にアンチ中国感
情が出現した。それは作り出されるという表現よりも、ソーシャルメディアをメインとす
る公共スペースでの日常会話の中で大量生産されている。それらの大量生産品の大部分は
無責任な虚偽情報だ。タブロイド紙オボルラヤッはジョコウィがコミュニストの家庭に生
まれた華人の子孫である、というホウクスを2014年大統領選挙キャンペーンの時期に
あけっぴろげに流した。そのでっち上げ話は前ジャカルタ都知事の選挙パワー圧殺と人格
謀殺のために作り出されたものだ。

大統領就任後も、ジョコウィに対するその誹謗中傷は続けられた。ジョコウィ政府は次々
と厳しい批判からブラック政治キャンペーンに至る攻撃にさらされ続けた。ジョコウィ政
府は中国の利益を代表しており、華人グループの肩を持っているという歪んだ内容で。

ジョコウィ〜カラ政権に失望し憤慨した諸勢力がインドネシアへの中国人数百万人の植民
と中国による経済支配という威嚇的なストーリーを作り出した。植民地化を証明するシン
ボルとして、千人超の中国人労働者が働いているモロワリ、メイカルタ、埋立島などのプ
ロジェクトが採り上げられた。


政党もしくはグループで動いている反政府エリートたちが、アンチ共産主義・アンチ中国
・アンチイスラム(イスラムフォビア)論議の形で未だに保存され再生産されているオル
バプロパガンダの遺産を享受しているように見える。世間もますます二極化し、分裂し、
政治化しつつある。[ 続く ]