「報道界は英語覇権主義(前)」(2018年07月26日)

ライター: 文司、バンドン在住、スジョコ
ソース: 2003年4月12日付けコンパス紙 "Cara Memberitakan Irak"

ひとりの女性教員がぼやいた。「これって、どうなのかしら。わたしの生徒はみんなイラ
クの指導者の名前を知っているのに、それを書かせたら、綴りを間違えてるんですよ。」

間違い例を見た後、わたしは答えた。
「全部正解だと思えばいいんですよ。要するに、みんな知っているということが大事なの
ですから。われわれは昔からアラブ人の名前にたくさんなじんできたから、読み方や書き
方がいろんな形になっているというだけの話です。」

わたしはバンドンの電話帳を調べてみた。Husain, Husein, Husen, Hushen, Husien, 
Husin, Husaeni, Hussen, Husenudinなど、実に多種多彩。Huseinという名前は6人だけ
で、Husenは114人いた。その人たちのKTPや名札にはそのように書かれているのだ
ろう。これはわれわれがとやかく言える問題ではない。HusenやHusinはアラブ世界にい
ないだろうから、これがインドネシア化あるいはヌサンタラ化ということであるにちがい
ない。


Saddam Huseinという名前をわれわれはとやかく言えないにしても、国・都市・川など
の名称は別だ。だからわれわれはIrakと書き、Iraqと書かない。オランダ語もドイツ語も
綴りはIrakであり、他にもどれほどの言語が同じようにしているだろうか?反対にイギリ
ス人やアメリカ人の方法をわれわれは疑問に感じる。どうしてKirkuqやQirkuqと書かず
にKirkukと綴っているのか?

そしてBaghdad。どうしてhが必要なのか?ヨーロッパの諸語はBagdadと書いている。
イラク戦争の前はわれわれもオランダ式にBagdadと書いていたのだ。今になって、われ
われの新聞はどうして英語式綴りに従おうとするのか?インドネシアの世界地図を調べ
てみよう。Bagdadと書かれているではないか。先生たちは世界地図を見たらどうでしょ
うか。

今頻繁に話題に上る川はEuphrates。英語綴りがそれだ。オランダ語はEuphraatで、イン
ドネシアもそれに倣ってEufratだ。しかし、正しく発音できるだろうか?ダメ!その証拠
にわれわれのアナウンサーたちはみんなEfratと言っている。綴りはEufratになっていると
いうのに。オランダの口を持つ者だけが正しく発音できるようだ。だったら綴りをどうし
てEfratに変えようとしないのか?

偉大な知識人、ムハンマッ・ヤミン教授が、著作「歴史アトラス」にそう書いた。この人
物は言語に堪能だから、その意見はいいかげんなものではない。[ 続く ]