「スパイスで味道楽(後)」(2018年07月31日)

ダシはアヤムカンプンを使う。卵を産んだことのある雌鶏が、コクが出て一番うまい。卵
を産んだことのない雌鶏は、生臭みがある。その場合にはショウガの量を増やす。ジャワ
の田舎では、それが常識だ。そしてスープには種々のスパイスが使われている。

「今の消費者はコクがあるだけでは満足しません。もっと発展しています。ユニークな味
を求めるんですよ。ハーブやスパイスを利かせたものが求められているんです。スパイス
豊かな味が今後の決め手になるでしょう。

昔、カリの葉(daun kari, 英語でcurry leaves, インドネシアの一般名称はsalam koja, 
日本語はオオバゲッキツ)はスマトラで使われているだけだったのに、今では全国で受け
入れられています。ウコンやククイの消費量もうなぎのぼりですよ。」調味料製造会社
のCEOはそう語っている。

この会社はインドネシア原産の種々スパイス、中でも黒コショウ・白コショウ・コリアン
ダー・シナモン・ウコン・ジャワタマリンド・ククイ・クミンなどをメインに使って調味
料を生産し、国内市場ばかりか輸出も行っている。
「日本向けにルンダンのソースを輸出しています。日本でルンダンを作るときは、肉を切
ってこのソースに入れて煮るだけです。ラクサ・カリ・ナシゴレンのソースや調味料も世
界中に出しています。インドネシア料理のいくつかは、もうインターナショナルメニュー
に入っていますよ。」

この会社はゼロからスタートして、今では生産量数百トン、製品バラエティも4百種を上
回っている。消費者は本当は生の素材ですぐに使える形のものを望んでいるのだが、そこ
にはやはり限界がある、とCEOは語る。
「賞味期限の壁を越えるのは難しい。粉末にすることで賞味期間を長くすることは可能だ
が、味については70%くらいになってしまう。ペーストにすれば、味を80から90パ
ーセントまで向上させることが可能です。市場は生の素材にそっくりの味で、長期保存が
可能なものを求めています。それが弊社の課題ですね。」CEOはそう抱負を物語ってい
る。[ 完 ]