「レイプ被害者少女に入獄判決(前)」(2018年08月02日)

ポルノ中毒の兄17歳に15歳の妹が犯された。親はそれを知らない。兄妹の性交は8回
行われ、兄が誰にも言うなと脅かしたために妹は口をつぐんでいた。結局妹は妊娠して、
母親の知るところとなる。

そのとき妹は既に妊娠5カ月目に入っており、自分は学校へ行きたいという娘の涙に誘わ
れて母親も堕胎に手を貸した。娘が腹部を揉みしだくのを母親も手伝って、一緒に胎児を
押し出したという。出た時まだ生きていた胎児は娘の母親がテーブルクロスに包んで捨て
た。村人がそれを見つけて警察に届け出たことから、警察が捜査を開始してこの事件が明
かるみに出た。

ジャンビ州バタンハリ県ムアラブリアン地裁で開かれたこの事件の公判で、判事団は兄に
入獄2年妹に入獄6カ月の判決を下した。検察公訴人が求めた兄に7年、妹に1年という
求刑よりはるかに軽いものではあったが、女性児童保護民間団体から「レープ被害者の妹
を入獄させるとは何事か」という非難の渦が巻き起こった。レープの被害者でしかない少
女に刑事罰を与えるのは人道に欠ける行為であり、児童保護の精神から大きく外れている。
そのような判決を下した判事団は許されるべきでないという主張で、判事団を最高裁に訴
える動きさえ起った。

勘違いしてならないのは、一般に言われている「男にレープを唆すかのように男の情欲に
火をつけた女が悪い」というあのロジックがここで起こっているわけではない。判事団が
その少女に刑事罰を与えたのは、少女が自ら堕胎を行ったことに対する判決なのであり、
堕胎は殺人行為に該当するからだ。


インドネシアの保健に関する2009年法律第36号では、レープによる妊娠で被害者が
堕胎を希望する場合、最後のメンスの初日から数えて40日以内に限り、公的医療機関で
医師の承認のもとに堕胎手術を受けることができると定めている。それを過ぎてしまえば
公認の堕胎は不可能になり、闇堕胎医/ドゥクンを頼るしかなくなる。

その40日のいわれというのは、妊娠後最初の40日間は精子の状態、次の40日間は血
液の状態、更に40日間は肉の状態で、そうなってからアッラーが霊を胎児に吹き込むと
いう観念がイスラム界にあり、神が霊を吹き込んだときに人間となるという理解へとつな
がっていく。ところが別の説によれば、アッラーが霊を胎児に吹き込むのは6週間後(4
2日)であり、それを過ぎれば胎児はもう人間であるという別の理解も存在する。[ 続く ]