「アナクラカタウ島も噴火が強まる」(2018年08月06日)

余震が続いていたロンボッ島北西部で、これまでとほぼ同じエリアを震源とするM7.0
の地震が2018年8月5日現地時間19時46分に発生し、バリ島南部地区でも強い揺
れがしばらく続いた。

一方、火山活動が活発化しているスンダ海峡のアナクラカタウ(Anak Krakatau)島では、
火山灰や砂が吹き上げられ、火口付近で溶岩も流れ出ており、8月3日に立ち入り禁止区
域が火口から2キロまで広げられた。しかし火山警戒ステータスはまだ第二級のWaspada
のままで据え置かれている。

実は、アナクラカタウ島は自然保護地区に指定されており、決まりに従うなら無許可での
上陸は禁止されているのである。ところがその事実を地元民ばかりか、現場にいる公務員
たちまでもがほとんど認識しておらず、観光客がアナクラカタウ島に渡りたいと漁民に言
えば、すぐに船が用意されるのが実態だ。

ただでさえ、その火山島を体験したい観光客が後を絶たないのに加えて、小噴火を起こし
ている今は絶好の体験チャンスを提供していると誰しもが考えるにちがいない。しかし監
督者は決まりを破られたくないのである。ましてや噴火で人身事故でも起これば、救出作
業や事後処理など本来ならしないでよい仕事が覆いかぶさって来るのだから。

白人のグループがアナクラカタウ島に上陸しているのを見つけた鉱エネ省ランプン〜ブン
クル天然資源保存館のパトロール隊が、職務質問した上でそのグループに島から退去を命
じたことが報告されている。それはイギリス人観光客グループで、噴火の様子を近くで見
たいからやってきたそうだ。かれらはチャリタ(Carita)海岸から高速艇をチャーターして
アナクラカタウ島に渡っている。

火口付近は流出した溶岩で立木が燃えたりしていて、危険きわまりない状態になっている
にもかかわらず、外国人ばかりかインドネシア人観光客もちらほらとアナクラカタウ島に
上陸している。観光ブームで漁民の収入が増加するのはよいにしても、この現象を収拾さ
せるにはやはり漁民に決まりを守らせることに尽きるように思われる。