「GWK像が完成(前)」(2018年08月09日)

バリ島最南部にある石灰岩の丘に2018年8月4日、巨大な像が佇立した。

卵型をしたこの丘はバドゥン県にあるためバドゥン丘と呼ばれているが、ひとによっては
ジンバラン(Jimbaran)丘あるいはウガサン(Ungasan)丘とも呼ばれている。少なくとも、
バリ島南部地域で丘(bukit)と言えばこの丘を指している。

この丘は海底が隆起してできたものらしく、地面を掘っても出てくるのは石灰土と岩石で
あり、井戸も得られにくいために昔は見捨てられた土地だったらしい。ここにある村々に
は、雨水を溜める貯水槽を設けてあるところが少なくないようだ。現在はもちろん水道が
引かれているものの、乾季が長引くとひと月間給水が途絶えたこともある。そんなとき、
貯水槽は多少とも急場しのぎの役に立っているように見える。


ウブッ王家の血を引くバリ人から聞いた話では、昔ここは罪人を流刑する場所だったそう
だ。バリ島本土側とは狭い地峡でつながっているだけの半島なので、囚人が世間に戻って
こないようにするのは容易だったにちがいない。

降雨量も少なく農業に適さないことから、ここに入植する平民はめったにおらず、流刑囚
ばかりが溜まっていたという話だ。流刑制度がなくなったあと、ここの土地を驚くような
安値で州政府が売りに出したが、あまり売れなかった。数年前のバリ島の地価高騰はこの
丘も例外でなく、あのとき買っておけばよかったな、とかれは悔やみ話をしていた。

GWK(ガルーダウィスヌクンチャナ)文化パーク内の海抜276メートルの地点に建て
られたGWKの像は台座からの高さが121メートルあり、その頂点がいまや丘の最高ポ
イントになったにちがいない。

この像の制作者はインドネシア有数の彫像作家のひとり、ニョマン・ヌアルタ氏である。
発案もかれと当時の観光総局長ヨープ・アフェ氏が立てたもので、最初はグラライ空港に
高さ5メートルの像を建てようとのアイデアでスタートした。州知事は一も二もなく賛成
し、更にバリ人の鉱エネ大臣をも誘って、1994年にスハルト大統領にこのプロジェク
トのプレゼンを行った。そのとき、アイデアはもっと大規模なものに変わって行った。広
い文化パークに巨大な像を建てるのだ。

バドゥン丘の高台に建てられた巨大な像が海港からも空港からも、そしてバリ島南部地区
のあらゆる場所から見ることができるようにする。1995年に土地収用と整地が開始さ
れ、1997年には台座の起工式が行われた。そして1998年、悪夢のような通貨危機
がインドネシアを襲った。プロジェクトは頓挫した。[ 続く ]