「また中国人の犯罪」(2018年08月09日)

インドネシアは外国人犯罪者にとって仕事のしやすい国のようだ。インドネシアの諸都市
に豪邸を借りて中国人を何十人も呼び寄せ、豪邸を事務所に仕立て上げて雇用者に本国の
金持ちへの詐欺電話をかけさせるという手口を行っている中国人はどうもまだ摘発されて
いないようだ。闇事務所が数え切れないほど摘発されているというのに張本人が捕まらな
いというのは、多分インドネシアにいないからだろう。

今度摘発された中国人がらみの事件は、インドネシア人女性を非合法に中国に送り込んで、
中国の地方部で期間を定めてその間非公式の妻にするいわゆる契約結婚をさせるという内
容のものだった。そうすれば労働力とセックス処理の二役に使える。西ジャワ州警察はこ
の事件に関わっている人間を三人逮捕した。そのうちのひとりは中国人で、もうひとり逃
亡中の中国人を追っている。

一味はジャワ島全域に幅広く網を張り、貧困層の若い女性を騙して集め、準備が整い次第
中国に送り出していた。騙す方法は中国へ芸能使節として渡航するとか、中国人の妻にな
って豊かな中国で恵まれた暮らしをするというような文句が使われたが、実態とは大違い。

インドネシア人女性を集める仕事は逮捕されたふたりのインドネシア人が行っていた。ソ
ーシャルメディアで候補者を見つけると会いに行き、娘が乗り気になれば1千万ルピアく
らいの金で親を説得して娘を北ジャカルタ市に借りた家に連れて行き、そこで準備が整う
まで生活させていた。警察がその家に踏み込んだとき、中では16歳から31歳までの女
性18人が暮らしていた。事件が明るみに出たのは、北ジャカルタの家に集められていた
女性のひとりが先に中国へ渡った仲間から話と実態は大違いだという情報を得、その家を
脱走して警察に届け出たことによる。

中国への送り込みが開始されたのは2017年12月で、それ以来既に南陽や深センなど
広範な地方都市に12人が送り込まれていた。集められた女性の送り込みに関する現地側
との折衝などはふたりの中国人が行っていた。

送り込まれた12人の救出のために、警察はインターポールに事件を届け出ると共に、外
務省から在北京インドネシア大使館を通じて中国政府に協力を求めるプロセスを進めてい
る。

数十年前に華人子孫の多い西カリマンタン州で、花嫁日照りに陥った台湾男性のために中
華系の女性を送り込むマッチメーキングが盛んに行われたことがある。そういうブームが
起こると、犯罪者が絡み込んでくるのが世の常で、類似のことは昔から行われてきたよう
だ。今回のものからは人種的条件が一切外されているが、契約期間が過ぎれば捨てられる
だけで家族に加えるわけでないのだから、きっと当然のことなのだろう。