「ボロブドゥル来訪者が増加」(2018年08月28日)

中部ジャワ州マグラン県のチャンディボロブドゥルを訪れる観光客が増加しており、ロン
ボッとバリの地震の影響で観光客がそちらに回っていて、滞在日数も長期化しているとい
う地元観光業界からのコメントが見られた。

18年7月のチャンディボロブドゥル外国人来訪者数は44,436人で、前年同月の4
1,643人から顕著な増加を示している。チャンディボロブドゥル観光園長はそれにつ
いて、交通の便が向上し、且つ廉価になっていることに加えて、ロンボッ〜バリの地震の
影響からこの盛況はこの先も続くだろうと述べていた。また地元民のホームステイも活況
を呈しており、チャンディから近い27軒のホームステイは連日満室で、しかも滞在日数
が長くなっているとのことだ。


しかしわたしは18年8月中旬にブレレン県ロヴィナとカランガスム県チャンディダサに
宿泊するバリ島沿岸部半周旅行をしてきたが、どこでも大勢の外国人観光客であふれてい
たのを実見している。

特にロヴィナは欧米のバカンスシーズンである8月をはずすとまるで火の消えたような閑
散に包まれる観光地だから、8月の白人観光客はカップルにせよグループにせよ有り余る
ほどいて、わたしの泊まったヴィラでもオランダ人と思われる三世代家族が数組、ヴィラ
内の施設を占領していた。

1970年代前半にわたしが何度もバリを訪れたころ、わたしはクタの喧騒を嫌っていつ
もサヌールに滞在した。サントリアンビーチコテージが一泊15ドルの時代で、現在のダ
ナウタンブリガン通りの西側は何もない空き地が続いていた。デンパサルの町まで行くの
に、細い荒れ道を走る小型乗合バスのベモを二三回乗り換えたような記憶がある。

夜のバリはともかく暗かったが、ほの暗い電灯の明かりが何とも言えない郷愁を感じさせ
てくれたものだ。


ロヴィナにはそんな時代のサヌールを何となく思い出させてくれる瞬間がある。わざわざ
こんなところまでやってくるヨーロッパ人も、きっと同じようなものを求めているのだろ
うとわたしは想像している。

昔、サヌールのレストランで近くのテーブルに座っている数人の日本人が、こんな退屈な
場所はない、と愚痴をこぼしているのを耳にした。そんなひとたちにとっての退屈な場所
は、バリ島からも追いやられて行く運命にあるに違いない。

ロヴィナ〜シガラジャというバリ島北岸地域と南部観光地区の経済格差は露骨なほどだ。
その差を平準化したいという州知事の希望はなかなか実現してくれないのだが、バリ島第
二空港が北部に作られることで何らかの変化が生じるに違いない。そのとき、ロヴィナは
どのように変貌しているだろうか?そして退屈な場所を失ったわたしは、どこを訪れるよ
うになるのだろうか?