「プルタミニ(1)」(2018年09月10日) ジャカルタに住んでいるかぎり、自動車用石油燃料はガソリンスタンドで購入するのが当 たり前になっているが、バリ島で二輪車をレンタルする外国人観光客はどんな田舎へ行こ うと、雑貨屋の表に置かれた棚に空き瓶に詰められたガソリンが並べられているのを見て、 安堵するのである。 値段はもちろんガソリンスタンドの公定価格より何割も高いが、リッター当たりの価格差 はせいぜい数千ルピアなのだから、そんなことを問題にする外国人観光客はいないだろう。 ましてやオートバイの燃料タンクに入れるのはせいぜい1〜2リッターだ。しかし、いや だからこそなのだろう、その価格差は地元民販売者にとって、結構な儲けになるのである。 ところが数年前から雑貨屋の表に、Pertaminiと書かれた給油ポンプが置かれるようにな った。小さいプルタミナだからプルタミニというプレセタンなのだろうか。バリ島の各地 を回って見ると、確かにプルタミニが増加しているように感じられる。 インドネシアの石油燃料事業は川上から川下まで国の独占であり、国有事業体プルタミナ 社がその運営を一手に握っている。川下はプルタミナ直営ガソリンスタンドもあれば、認 可を得た民間資本が行っているものもあり、外国ブランド石油会社もその中に混じってい る。 ただし都市部は別にして、村落部ではガソリンスタンドがどこまで行っても見当たらない という場所はいたるところにある。バリ島の田舎の観光地の中にもそういう場所が当然に して存在している。 数十億ルピアを投下してガソリンスタンドを設けても、需要が伴わなければ商売にならな い。だからプルタミナは供給網充実を図ってプルタミニガソリンスタンド政策を開始し、 より小資本の投下で商売になるスタイルをプロモートした。 プルタミナが認可を与えるためには、通常のガソリンスタンドと同じレベルの安全基準が 用いられなければならないし、ポンプのメーターも正確でなければならない。価格は公定 価格からせいぜい5百ルピア程度高く売ることが了解されている。6〜7千ルピアのもの を1万ルピアで売ってはならないのである。[ 続く ]