「頭字語とプレセタン(前)」(2018年09月19日)

ライター: 文司・インドネシア大学文化科学学部教授、アヤトロハエディ
ソース: 2003年8月23日付けコンパス紙 "Singktan dan Pelesetannya"

書き言葉の文字数を減らしてスペースを節約する手段は、頭字語のほかに、略語にして書
き言葉の文字数を減らす方法も行われる。その違いは、既存の単語と同じものを作って語
義を増やすケースも含めて頭字語の場合は新語が作り出される一方、略語は生成が恣意的
になされる点にある。

場合によっては、頭字語が新語として発音されることもある。ABRIはアーベーエルイ
ーでなくアブリと発音され、UNESCOはウーエヌエーエスチェーオーでなくユネスコ
と発音されるのがその一例だ。

そのようなことは生成過程の中で決まって来る。略語はもっとも響きのよい形を基盤に置
くが、頭字語は各単語の頭文字を並べるのが一般的だ。頭字語は新語を作り出すことがあ
まりないため、既存の単語の語義を増やして負荷を与えるようなことは稀だ。いずれの場
合でも、聴者や読者にその元の言葉は何なのだろうかと一種の謎かけを与える点に、その
面白みがある。

頭字語が作られる過程で、構成している全単語の頭文字が必ず使われるとは限らない。例
えばマレーシアと合意して共通化した現在われわれの使っている綴り方はEYDとされて
いるものの、元のフレーズはEjaan Bahasa Indonesia Yang Disempurnakanだった。も
ちろんインドネシアの地方語もラテン文字で表記する際にそれが使われるのは変わりない
のだが。

頭字語は頻繁に語呂合わせの対象にされ、元の意味から大きくかけ離れたものにされるこ
とも珍しくない。どうやらわが国には語呂合わせの天才が満ち溢れているようだ。公的機
関・民間団体・サッカーチームなどありとあらゆる分野の頭字語がプレセタンの標的にさ
れている。

頭字語が略語に由来しているものも稀でない。50年代に栄華の頂点を極め、今や悲惨の
底に沈んでいるサッカーチームPersibは現在PMBという名称になっている。PMBとは
Persib Maung Bandungの頭字語だそうだが、Persib自体がPersatuan Sepakbola Indo-
nesia Bandungの略語なのだから、Bandungが二回使われていることになる。[ 続く ]