「バンドン市で無料カウンセリング」(2018年09月26日) 都会人の情動障害は全国的に上昇傾向にある。地方部にある地縁血縁の色濃い共同体生活 から離れてすべてに個人主義的な都会での生活に入ったとき、多かれ少なかれ精神的な負 担がもたらされて、それを受ける個人の情動に何らかの影響を与えて行く。 その苦になる要素はひとによって異なるものの、現在直面している環境と将来への展望に 関わるものであるのは同じだ。2013年基礎保健調査結果は、年齢が上へ行くほど、学 歴が低いほど、経済レベルが下へ行くほど、職業が不安定なものであればあるほど、ひと は情動障害に襲われやすくなっている。 その調査結果によれば、全国の有病率は6%だが、州別に見るとその二倍に上っている州 もある。 中部スラウェシ州 11.6% 西ジャワ州 9.3% 南スラウェシ州 9.3% ヨグヤ特別州 8.1% 東ヌサトゥンガラ州 7.8% 年代別では次の通り。 15〜24歳 5.6% 25〜34歳 5.1% 35〜44歳 5.7% 45〜54歳 6.0% 55〜64歳 6.9% 65〜74歳 9.7% 75歳超 13.4% 職業別は次の通り 無職 7.6% 農業・漁業・肉体労働 5.5% 自営業 4.6% 会社員 3.8% 障害が生じたとき、精神医のカウンセリングを受けるのが常道なのだろうが、精神医のと ころに出入りしているということが世間に知られると、その者がまるで社会の病菌のよう に扱われた時代の常識を年代の上のひとびとはひきずっているため、なかなか精神治療へ の敷居が高い。現在カウンセリングを受ける人口が増加しているのは、そういう常識の汚 染があまりない若年層が主流をなしているからだ。 しかし若年層にとってもすべてがスムーズというわけでもない。ただ話をし、相談し、ア ドバイスをもらうという、誰もがあちこちで親族や友人あるいは知り合いと普通に行って いることが、精神科医のところへ行けば結構な金を取られるという認識がいまひとつ、若 年層にとっての敷居になっている。その金で質量ともに結構な食事が一回できるのである。 結構な食事は高いという意識なしに行えるが、精神科医に対してはそれが心穏やかでない。 バンドン市は2017年10月から、市民に対する無料カウンセリング活動を開始した。 市内ダゴ地区のチカパヤン公園とバンドン市庁舎のデウィサルティカ公園に精神科医を置 き、住民がだれでもそこにいる精神科医に相談できる体制を設けた。無料カウンセリング は二週間に一度、その二カ所で行われている。