「10月の憂鬱」(2018年09月28日) バリ島ヌサドゥアで開催されるIMF世銀年次国際会議が近付いてきた。18年10月9 〜14日のこの大型催事のために、海外からおよそ1万8千人がヌサドゥア地区を中心に してバリ島南部地域を訪問するそうだ。 18年7月までのグラライ空港外国人観光客入国者数は月平均50万人だから、ラフに週 換算すれば12万人となる。そこに1万8千人が上乗せになれば、15%ほどの増加率に なるわけだが、催事現場のヌサドゥア地区はそれどころではあるまい。 ただし催事参加者はその前にバリ島に入って来るので到着のピークは7〜8日と見られて おり、10月上旬も半ばを過ぎればヌサドゥア近辺に近寄るのがおっくうになりそうだ。 出発のピークは13〜14日と観測されており、14日を超えれば大旋風も治まるにちが いない。 一方、催事参加者のための車両は4千台が手配されているそうで、バドン県とデンパサル 市の四輪車登録台数を20万台とするなら、期間中の路上混雑は5%程度アップすること が予想される。 今では島内南部地域のあちこちで行われていた突貫工事もほぼ終了したし、バリ島の目玉 アイコンと位置付けられるガルーダウィスヌクンチャナ像(GWK)もこの催事を前にし て完成し、22日に公式オープニング式典が行われた。像の台座ビルは内装が未完成で、 催事にタイミングを合わせて作り上げられるようになっているそうだから、見に行きたい とは思うものの、催事明けを待つしかない。 玄関口のグラライ空港も既に準備万端整えて、催事参加者の到着を待っている。大掛かり なものとしては、滑走路を3千メートルから3千4百メートルに延ばしたこと、パンタイ ジェルマンを43.75Ha埋め立ててエプロンを拡張し、駐機能力を37機から47機 に広げたこと、航空機発着能力を時間当たり30機から33機に引き上げたことなどがあ る。 入国者のためには、各国元首や大臣のためのVVIP専用建物を設け、また到着ホールの 入国審査場に自動イミグレーションゲートを16基増設したので、現在は自動ゲートが2 0基に増え、ひとの流れが従来のひとり30〜45秒を15〜30秒に短縮するベースが 備えられたことになる。 空港でのひとの流れが効率よくなるのは願ってもないことだが、街中、いや路上の混雑は 1万8千人と4千台だけでは済まない。この大型催事をつつがなく終わらせるために、国 家警察と国軍そして行政治安関係部門総勢2万2千人からなる合同特殊治安部隊もバリ島 南部地区に配備される。 VVIPを乗せた車両の移動に警察のガードが付くのはインドネシアの常識であり、そし てかれらが一般庶民の車両を押しとどめても優先通行する権利を持っていることもインド ネシアの常識だ。その時期、街中で車のハンドルを握りたいと思うひとがどれほどいるの か、わたしには疑問だ。