「文字と記号(後)」(2018年10月18日)

数を示す文字としてアラブ数字が世界中でほとんどあらゆる文字システムの中に使われて
いる。しかし、じっくり観察してみると、アラブ数字の元のままで受け入れられたのは1
と9だけだ。2と3は横に寝ていたものが縦にされて採り入れられているし、4・6・7
・8はオリジナルでなくなっている。アラブ元祖の5はドーナツ状だったが、似ても似つ
かないものになっている。その形状は後になってゼロの文字に使われた。アラブのゼロは
ドットなのであり、ラテン文字では異なる意味を表していたからではあるまいか。

テクノロジーの進歩、特にゼロを表す0の財務関連分野における使い方はわれわれを当惑
させてくれる。ドーナツ形状は既に[オー]の表記に使われていたではないか。その結果混
乱を避けるために、ゼロは斜線をひかれた形にされた。このシンボルはさまざまな学問分
野で変形概念を説明するのに使われるようになる。言語学でもその記号をゼロと呼んで使
うようになった。たとえばbaringという語にberbaringという形が出現するとき、duduk
やmakanは?dudukや?makanと表記されてber-の付く形は存在しないという意味を示す
のである。

ところが自動車のナンバープレートを扱う政府機関はその基本的意味合いを理解しなかっ
たようだ。その機関は?の記号が人間に使われることしか知らなかったのではあるまいか。
さもなくば、その記号が金銭や数字の問題と深くからまっている分野との接触はあったに
ちがいない。その結果、ナンバープレートの表記にそれが使われることになった。

最初、その機関は数字と文字が混同されるのを避けるために、アルファベットのOとIを
使わないように努めてきた。ナンバープレートを読むとき、ゼロと1に間違われるかもし
れないからだ。ところが登録車両台数の激増で、そんなことは言っていられなくなった。

そして使い始めたのだが、世界の常識となっている?の基本的意味合いに従わなかった。
こうしてB 1000 ??というナンバープレートが出現したのである。これは「ビーワンオー
オーオーゼロゼロ」でなく「ビーワンサウザンドオーオー」と読まれなければならない。
どうしてB 1??? OOとしなかったのだろうか。[ 完 ]