「赤児売買事件(2)」(2018年10月23日)

警察は更に、Aのサイトを通じて以前に行われた三つの赤児売買事件の捜査を続けており、
別の購入者M24歳が逮捕された。スラバヤ在住のMは大学時代にAと知り合っていて、
Mが赤児を欲しがっていることをAが知っていたために、優先的にMに引き取りを世話し
たとのことだ。

Mは二年前に結婚したものの夫との間でなかなか懐妊せず、このままでは夫の親に離婚を
強いられるのが確実になって来たことから、それを避ける対策として赤児を手に入れたい
と考えるようになった。

そこにバンドンの女子大生が不倫相手の男との間にできた赤児を誰かに引き取ってほしい
といううってつけの話が来たため、Aは即座にMに紹介した。取引はスマランで行われ、
Mは380万ルピアを用意して女子大生に350万ルピア、Aに30万ルピアを渡した。
そのとき赤児は生後三日目だったそうだ。警察はMの家から赤児を取り上げて女子大生に
返したものの、結局は養護施設に預けられて先行きどうなるかわからないありさまになっ
ている。

Mは裁判所で養子縁組手続きを行うつもりでいたが、その準備に取り掛かる前に警察沙汰
になってしまったと語っている。ワッツアップに養子を欲しがっている主婦のグループが
あり、Mはそのメンバーでもある。そしてAはそこにも関係しており、養子の欲しいひと
たちに機会を提供することもひとつの目標に置かれている。そんな需給関係の仲立ちをし
て人助けをするのが自分の望むところであるとAは警察の取調べに供述しているのだが、
裁判所はこの事件にどのような判決を下すのだろうか?

Aによれば、これまで世話してきた赤児の養子相手探しでは、赤児の母親に渡す謝礼金の
額が1千5百万から2千万ルピアの間だったとのことだ。養子縁組には金銭をからめては
ならず、金銭がからむ場合は人身売買であるという世界の常識は、インドネシア文化にお
いては非常識以外のなにものでもないだろう。

拝金社会でものごとの感謝の気持ちは金で表わされることが常識なのであり、金という物
はそれほどイージーカムイージーゴーな物資なのであって、世の中の回り物であるこの物
資を私物化して自己の金壺に蓄えようとする行いは反社会的行動として罪悪視される。
[ 続く ]