「いまだに続く児童婚(1)」(2018年10月29日) ジャカルタにも児童婚がある。全国33州の第30位であるとしても、児童婚は存在して いるのである。児童婚に対するものの見方が国内文化の中でポジティブな面を持っている のであれば、地域特性というのはその実行に対する障害という面での特性に焦点を当てて いることになり、人文的な特徴をそこに期待するのは無理となる。人間の移住が活発にな れば、田舎でみんながしていることをジャカルタでしてどこが悪いという意見が出て当然 だろう。 2015年に中央統計庁が行った20〜24歳女性で18歳未満の結婚歴を持つ人口統計 調査によれば、首都ジャカルタは該当者人口比が14.7%で全国第30位となっている。 全国ナンバーワンは西スラウェシ州34.2%、続いて二位から五位までが南カリマンタ ン州33.7%、中部カリマンタン州33.6%、西カリマンタン州32.2%、中部ス ラウェシ州31.9%であり、全国平均は22.8%だった。 「わたしは12歳で結婚したんですよ。ほんとに後悔してます。」と語るのは東ジャカル タ市ジャティヌガラ郡北チピナンブサール町に住むデウィさん30歳。 18年前、かの女は2歳年上の隣人の少年に恋をした。密集住宅地の中で少年少女の親密 な交際を町内のひとびとは噂し合った。肉体関係に至った証拠などだれも持ってはいない が、それはひとびとの間の常識だった。しないことなど、ありえないのだ。 この密集住宅地はバスキラッマッ(Basuki Rahmat)通り沿線にできたもので、チピナン川 沿いに自生したスラム地区であり、モールバスラシティの裏手に当たる。外界とそこをつ ないでいるアクセス路は、ジャティヌガラのパサルグンブロンの中を抜けて急な崖に設け られた階段を上り下りするしかない。 住民の居住スペースはたいてい30平米前後で、そこに5〜10人が起居している。隣り 合う住居同士はほぼ密着しており、どの家庭が何が起こったかはたちどころに筒抜けにな る。プライバシーなど存在しないのだ。[ 続く ]