「いまだに続く児童婚(2)」(2018年10月30日) 「あの娘ももうすぐ腹ボテだあな。子供がハラムの赤児を抱えて、やってけるのけえ。」 などという町内のゴシップにかれの親が居たたまれなくなった。親は息子に結婚しろと言 い渡した。それがこの一家の面子を立てて世渡りしていくための最善の解決方法であると 判断されたからだ。親のないデウィさんの保護者は、成り行き任せだった。なにしろ本人 のデウィさんが望んでいるのだから。 デウィさんを産んだとき、母親は世を去った。父親は他の町へ稼ぎに行くと言って去った きり、二度と戻って来なかった。他の町で新しく所帯を持っているという噂が聞こえてき た。 デウィさん夫婦は結婚してからほどなく子供ができた。家族というものの暖かみを知らな かったデウィさんにとって、新たに始まった家庭生活はすばらしいものに感じられた。だ がその家庭を支えるべき当人たちはあまりにも未熟だったのである。 夫が家庭を成り立たせるための生計に身を入れるには、まだまだ遊びたいことがいっぱい あった。世帯主としての務めを果たすことよりも、レンタルビデオゲームやバクチで仲間 とつるんでいる時間のほうがはるかに多かった。 パサルグンブロンで揚げ物の作り売りをするのがこの夫婦にとって唯一の収入の道だ。既 に子供が三人になったこの一家の生活に、十分金が回らないことも再三だ。デウィさんは 他の場所へ引っ越したいと念願しているものの、いつになったらその資金が用意できるの か、目途すら立たない。 同じ地区の住民アシさん55歳は、末の孫娘ララスさん15歳が結婚してもう一年経つと 物語る。その結婚は役所に届け出が出されていないという意味で違法ではあるが、ちゃん と宗教上の手続きを踏んで、親族隣人たちから祝福されたものだとアシさんは言う。 アシさんはそのあり方にまったく違和感を抱いていない。40年前に自分が14歳で結婚 し、同じように子供たちも、そして孫たちも連綿と続けられてきた慣習を繰り返している。 少女妻たちのたいていが同じ苦難に直面していることも、アシさんにはわかっている。 「ララスは半年前に双子を産んだよ。ひとりは体重1.4キロ、もうひとりは1.6キロ で、病院の集中治療室にひと月半入り、そしてひとりは世を去った。残ったのはひとりだ け。」 [ 続く ]