「いまだに続く児童婚(終)」(2018年10月31日) 北チピナンブサール町長は、町民が婚姻届けを出すための添え状を申請に来る中に、18 歳未満の者が書かれているケースはいまだに絶えない、と言う。 「児童婚禁止の方針だから添え状は出せない。しかしかれらはあくまでも宗教上の結婚を 行って夫婦生活に入っていく。だから児童婚の正確な数は把握できない。 生活という経済問題がからんでいるから、単に禁止だと言われてもやめるわけにはいかな い。教育レベルの低さが伝統的な行動に従おうとする傾向に見直しをかける機会をかれら に与えないのだろう。」 女性児童保護のための民間団体カルヤナミトラ財団は三年前からこのスラム地区でのカウ ンセリングと住民指導に着手した。財団理事長は、子供の権利と保健の保障をみんなが他 人事にしている、と語った。家庭の中でそれは母親の仕事と目され、父親は母親に全権一 任の態を取っている。 しかし保健省地区統合保健ポストの担当者は、父親の家庭に対する関わり方に少しずつ前 進が見られると言う。「子供の健康検査や投薬などで、父親が子供を連れてくるケースが 増えています。ほとんどがインフォーマルセクター就労者ですから、時間の都合はつけや すいのでしょう。子供を父親がひとりで連れて来たり、夫婦で連れて来たりしていますね。 父親にもわが子の健康状態を知りたいという欲求が強まっているように思えます。」 デウィさんの長男は職業高校12年生になった。下の娘ふたりはまだ小学生だ。この子供 たちが教育を終えてちゃんとした大人になるまで、絶対に結婚はさせない、とかの女は断 言する。長男には、高校を終えたら大学へ進んで、一家を構えられる人間になってほしい。 それまでに結婚など許せば、その夢は丸つぶれになってしまう。長男が一家を構えられる までになったとき、デウィさん夫婦が費やしてきた長い歳月がやっと報われることになる にちがいない。[ 完 ]